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新型コロナウイルス感染症軽症事例の抗体持続期間 [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は午前午後ともいつも通りの診療になります。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
コロナウイルス軽症例の抗体持続期間.jpg
the New England Journal of Medicine誌に、
2020年7月21日にウェブ掲載されたレターですが、
新型コロナウイルス感染症(Covid-19)の軽症事例における、
血液の抗体価の持続期間をみたものです。

こうした報告は複数あり、
その幾つかはこれまでにも紹介しています。

これまでの報告では、
当初想定されていたよりも、
血液中の抗体価が陽性となる期間は短く、
数か月で陰性化するケースが、
特に軽症や無症状で多い、
というものです。

今回のレターではアメリカにおいて、
殆どが軽症で人工呼吸器などは装着せずに治癒している、
34名の新型コロナウイルス感染症の患者を対象として、
その大部分で時期を変えて2回の血液中のIgG抗体の測定を行い、
その感染後の持続期間を検証しています。

抗体はウイルスの突起の結合部位に対するIgG抗体を、
ELISA法にて測定したものです。

その結果、
観察期間における抗体価の半減期は、
平均で36日で、
その95%が26から60日に分布していました。
つまり、抗体価はほぼ1か月で半減し、
数か月で陰性化する可能性が高い、
と言う結果です。

SARSウイルスにおいては、
同様の検証での抗体の持続期間は、
1年程度という報告が多く、
間違いなく新型コロナウイルスはSARS原因ウイルスと比較して、
血液中の液性免疫の持続が短いことが明瞭となってきています。

細胞性免疫はもっと長く維持されるという報告もありますが、
いずれにしても今回の新型コロナウイルス感染症罹患後の、
免疫の持続期間が、
特に軽症例では短いことはほぼ間違いのないことで、
今開発中のワクチンの有効性も、
その点を踏まえてなされる必要がありそうです。

そして、これはもう常識的なことですが、
不特定多数の抗体価を測定して、
陽性であれば免疫が成立しているという、
「抗体があれば安心」というような考え方は、
今回は全く成立しないということは、
もう一度強調しておく必要がありそうです。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。

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