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「レイニーデイ・イン・ニューヨーク」 [映画]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は土曜日で午前午後とも石原が外来を担当する予定です。

土曜日は趣味の話題です。
今日はこちら。
レイニーデイインニューヨーク.jpg
ウディ・アレンの最新作「レイニーデイ・イン・ニューヨーク」を観て来ました。

この映画は2017年くらいに撮影され、
完成してから過去のウディ・アレン監督の、
女性への暴行疑惑が批判の対象となり、
多くのキャストが出演を懺悔して、
出演料を寄付するという事態になって、
アメリカでは公開されずにお蔵入りとなっています。

映画自体には罪はないので、
公開中止は行き過ぎではないか、
というようにも思いますが、
そう思った人も多かったようで、
アメリカ国外では複数の国で公開されています。

ロマン・ポランスキー監督も、
ウディ・アレン監督も、
僕は大好きな個性派監督ですが、
いずれもある意味生粋の変態で、
生活破綻者でもあります。
2人とも性癖に異常なところがあり、
多くの問題(主に女性)を起こしています。

2人とも人間性はともあれ、
作品には唯一無二の個性があり。
人間へのこちらも非常に個性的かつ深い洞察に満ちています。

他者へのハラスメントや性的暴行などは、
勿論許されざることで、
それが非難されたり裁かれたりするのは当然のことですが、
その作品までが、
否定され非難され封印されてしまうと言うのは、
釈然としない気分になります。

まあでもこういう時代なのですから、
仕方のないことかも知れません。

さて、肝心の作品ですが、
なかなか素敵で完成度の高い映画でした。

アレンの作品は結構観ている方ですが、
個人的にはお気に入りの1本です。

ニューヨークを舞台にした洒脱なコメディで、
ティモシー・シャラメ扮するお坊ちゃんの大学生が、
ガールフレンドのエル・ファニングを案内して、
ニューヨークで楽しい旅行をしようとするのですが、
ファニング嬢は有名な映画監督の大学新聞のインタビューをしたところから、
セレブのおじさん達に何故か気に入られて、
その退廃的な世界に呑み込まれてしまい、
シャラメ君は相手にされずに、
自分が嫌って捨てて来た、
家族やかつての友達と再会します。
2人はようやく夜中になって再会しますが、
その時には2人の関係は、
それまでとは違うものになっていました。

骨格はある意味とても平凡で、
取り立ててドラマチックな事件が起こる、
という訳でもないのですが、
それでも巻頭の長回しから、
もう既に映画の世界に惹き込まれて、
その後は魅力的でセンスに溢れた映像世界を、
主人公達と共に、
良く出来たテーマパークのように、
楽しむことが出来るのです。

老境のアレンにしてなし得た、
水彩画のような軽く美しく、
侘び寂びを感じさせる小品です。

この映画は何よりビットリオ・ストラーロによる撮影が、
この上もなく美しく、
官能的なまでの映像美を実現しています。

前半で車の中でシャラメ君が生意気なセレーナ・ゴメスとキスをすると、
その瞬間に陽光が陰って、
雨が降り出すんですよね。
あの照明効果の見事さ、素晴らしいですよね。
車の移動撮影のこれまでに類のないような構図の妙、
ラスト雨の中にオレンジ色の陽光が混じる効果など、
その映像の魔術だけでも充分一見の価値があります。

内容も愛と男女の不思議を感じさせ、
とても奥が深く素敵です。

ラストに主人公が、
コール・ポーターの「Night and Day」の一節を引用すると、
ファニング嬢がおとぼけで、
「シェイクスピアよね」と返すので、
それで最終的な決断に至る、
というのが、如何にもアレンというひねった趣向で、
ファニング嬢の天真爛漫さが、
セレブのおじさんの心は掴むのに、
主人公のお坊ちゃんは幻滅させてしまう、
というのも皮肉で面白い趣向ですよね。

それでもファニング嬢の魅力も全開で、
大物スターを前にベロベロになっての長回し、
凄いですよね。

これが監督の過去の素行でお蔵入りというのは、
何とも無念という気がします。

いずれにしても、
アレンの最高作とは言えなくても、
愛すべき傑作の1つであることは間違いなく、
ファニング嬢の演技と名匠ストラーロの神憑り的撮影と共に、
必見の作品であることは間違いがありません。

皆さんも是非…

素敵ですよ!

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

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