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新型コロナウイルスの陽性率と推計患者数(アメリカでの解析) [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は午前午後ともいつも通りの診療になります。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
コロナウイルスの抗体価とアメリカ.jpg
JAMA Internal Medicine誌に2020年7月21日ウェブ掲載された、
アメリカの抗体陽性率から見た患者数の推計についての論文です。

新型コロナウイルス感染症の患者が、
今日は何名新たに診断された、
というような報道が連日あります。

ただ、これは敢くまで症状からその存在を疑ったり、
濃厚接触者であったりという理由があって、
検査をして判明した数に過ぎません。

実際には診断されない感染者が、
特に無症状や軽症者では多いだろうと言うことは、
誰でもそうだろうな、とは思うところです。

それを推測する方法の1つが、
血液の抗体価を測定することです。

抗体が陽性であることは、
その病気に罹ったことがあることを通常は示し、
不特定多数の住民に抗体検査を行なった陽性率から、
実際の感染者を推測することが出来るという理屈です。

ただ、現状どのような方法で測定した抗体が、
感染の既往をより正確に反映しているかは、
明確ではありませんし、
一旦陽性になった抗体が、
数か月以内という短期間において、
陰性化するケースが少なからずあるという報告もあって、
抗体価測定の意義は混沌としているのが現状です。

今回の検証はアメリカの10か所の地域において、
脂質異常症の検診などの目的で採血された、
一般住民の検体を活用して、
個々の地域の新型コロナウイルスの、
スパイク蛋白に対する抗体価(ELISA法)の陽性率を、
比較検証しています。

16025名の採血結果を元に推測したところ、
住民の抗体陽性率はサン・フランシスコ湾岸部が1.0%で最も低く、
ニューヨークが最も高く6.9%でした。
これを元にして、
実際の感染者数を推測すると、
実際に判明している患者数の、
6から24倍であると考えられました。

この数値は感染者の大部分が、
無症状から通常の風邪程度の軽症であることを意味していると共に、
自然に感染が拡大して、
集団免疫に達するのは、
容易なことではない、
ということを同時に示しているように思います。

画期的なブレイクスルーがない限り、
ウイルスとの闘いがかなりの長期戦になることは、
間違いがないと言っても良さそうです。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。

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