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極私的新型コロナウイルス感染症情報(2020年7月26日) [身辺雑記]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は日曜日でクリニックは休診です。
雨も降っていますし、
妻は外出しました。
今日は1人でステイホームの予定です。

それでは今日の話題です。

今日は新型コロナウイルス感染症の、
クリニック周辺での状況を踏まえたあれこれです。

このところ唾液のPCRでの振り分けを行なっているので、
今の感染状況の実際が見えてくるという部分があります。

患者さんは矢張り現時点では20代から30代が多く、
症状は初発は急な発熱と関節痛や倦怠感が多いという印象です。
鼻水や咳はあまりありません。咽頭痛もありません。
それから数日して嗅覚障害と味覚障害です。
勿論全例で出ているということではありませんが、
嗅覚障害と味覚障害は矢張りこの病気の大きな特徴で、
鼻閉などがないのに、
ある日急に臭いや味を感じなくなったら、
高い確率でこの病気を疑います。

これは僕だけが言っていることではなく、
症状のみから新型コロナウイルス感染症の診断をしようという、
診断ツールを検証している論文でも、
最も診断オッズ比の高い症候として、
嗅覚障害と味覚障害を挙げています。

これはある日急に感じなくなるということと、
一部の臭いや味だけではなく、
ほぼ全ての臭いや味を感じなくなる、
という点がポイントです。

こうした症状があった場合には、
それだけでPCR検査に進んで良いものと、
個人的には考えます。

これは実際の事例ですが、
最初に発熱が1日のみあって、翌日には平熱になり、
その2日後に嗅覚障害と味覚障害が出現した20代の女性がいました。
近医を受診したところ、
その時点では経過をみてよいと漢方のみが処方されましたが、
症状が改善しないため相談電話を介して、
クリニックに連絡がありました。
結果は陽性で新型コロナウイルス感染症と診断しています。
結果として症状出現後9日が既に経過しており、
唾液のPCRの施行としてはギリギリのタイミングでした。

こうしたケースはもっと早期の検査が望まれると考えます。

一方で今咽頭痛と発熱があって、
同時に鼻水は鼻閉もあり、
その後痰がらみの咳が出るというような経過の、
急性上気道炎症候群に関しては、
ほぼ症状のみで新型コロナウイルス感染症ではないと、
経験的には思われます。
特に咽頭所見において、
扁桃炎の所見が明らかである場合には、
ほぼそれだけで新型コロナウイルス感染症は否定されます。

ただ、これは今の時点で、
流行している上気道炎に限った話で、
また別の時期になれば判断は変わるという可能性があります。

6月に発熱が持続する患者さんで、
扁桃炎の所見があり、
抗菌剤を処方したものの経過が遷延するために、
新型コロナウイルス感染症診療の窓口の1つとなっている病院に、
ご紹介をしたのですが、
病院ではPCR検査はすることなく、
扁桃炎として診療を施行しました。

通常心配なのでPCR検査もして、
新型コロナウイルス感染のないことを確認したいところですが、
その病院の先生は新型コロナの患者を多数診察しているので、
経験的にその必要を認めなかったのだと思います。

僕も今では症状を1つの基準として、
すぐにPCR検査を行なうのか、
その可能性は低いとしてまずは経過をみるのかを、
考えるようにしています。

さて、クリニックでは新型コロナウイルスの診療自体は出来ないので、
PCR検査が陽性と判明した時点で、
患者さんには保健所からの連絡を待ってもらう、
という対応が通常です。

ただ、東京都の感染動向の資料を見て驚いたのですが、
入院患者が1000名強、宿泊療養が150名強(7月25日現在)であるのに対して、
自宅療養が400名強で、
入院療養調整中が1000名を超えています。

基本的には新型コロナウイルス感染症と診断されて、
症状のある患者さんについては、
入院もしくは宿泊療養が通常と理解していたのですが、
実際には入院もしくは医師看護師の観察下にある患者は、
陽性者の半数に満たないという現状であることが分かります。

僕が問題と考えるのは、
軽症の新型コロナウイルス感染症と診断され、
発生届が提出された患者さんが、
軽症と判断された場合には、
結果的に放置に近い状態となってしまい、
主治医もいない状態で自宅待機を強いられてしまう、
ということです。

医療的サポートなく多くの軽症患者さんが、
放置されてしまうような現状は、
好ましいものではないように思います。

今年の4月から5月くらいの時期には、
入院が必要でありながらベッドがなく、
自宅待機を長期強いられるというケースが問題となった訳ですが、
現状はそうではなく、
軽症ではありながら対応が決まらず結果として放置されている、
というような患者さんが多い、
という状況であるようです。

個人的にはもし自宅療養の方針なのであれば、
外来主治医が継続的に、
経過をみてゆくような態勢が望ましいように思いますが、
その線引きのようなものは、
現状は明確ではないようです。

今後はこうしたケースでは患者さんに現状を聞きつつ、
必要あれば連絡をしてもらうような態勢を、
取ってゆこうかと考えています。

今日は今思う新型コロナの現状についてのあれこれをお届けしました。

それでは今日はこのくらいで。

皆さんも良い休日をお過ごし下さい。

石原がお送りしました。
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