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コーヒーと高血圧リスク [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は金曜日でクリニックは休診ですが、
老人ホームの診療や産業医活動などがあり、
1日忙しく都内を廻る予定です。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
コーヒーと高血圧リスク.jpg
2020年のClinical Nutrition誌に掲載された、
コーヒーの飲用習慣と高血圧との関連についての論文です。

コーヒーには多くの健康に良い効果が認められていて、
その中には心血管疾患リスクの低下作用も挙げられています。

ただ、高血圧とコーヒーとの関連については、
長期的にはコーヒーに高血圧の予防作用がある、
というような報告のある一方、
短期的にはコーヒーに含まれるカフェインの作用により、
脈拍は上昇し血管は収縮して、
血圧上昇に結び付く、
という報告もまた複数存在しています。

コーヒーの飲用習慣と高血圧との関係は、
それほど単純なものではないのです。

今回の研究はコーヒーの母国の1つであるブラジルでのものですが、
35から74歳の一般住民15105名を登録した疫学データを活用して、
そのうち登録の時点で高血圧のない8780名を、
コーヒーの接種量毎に解析し、
高血圧の中間値で3.9年の観察期間中の発症リスクと、
コーヒーの飲用習慣との関連を検証しています。

今回の対象者の90%はコーヒーを飲んでおり、
飲む量の中間値は1日150ミリリットルでした。

登録者のうち経過中に1285名が高血圧を発症していました。

コーヒーを飲む習慣がないか殆ど飲まない人と比較して、
コーヒーを毎日1から3杯飲む人では、
高血圧の発症リスクは18%(95%CI: 0.68から0.97)、
有意に低下していました。

喫煙歴を補正した上で検証すると、
非喫煙者のみの対象者では、
1日1から3杯コーヒーを飲む人は飲まない人よりも、
高血圧の発症リスクがより低く、
21%(95%CI:0.64から0.98)有意に低下していました。
一方で喫煙歴があるか現在の喫煙者では、
コーヒーによる有意な高血圧発症リスクの低下は、
認められませんでした。

1日3杯を超えるコーヒーでは、
高血圧発症リスクの有意な低下は、
確認されませんでした。

このように今回のブラジルでの検証においても、
1日1から3杯くらいのコーヒーを飲む習慣は、
高血圧の予防効果が確認されました。

勿論コーヒーがカフェインを含むことは事実で、
一時的な血圧上昇の可能性はあるのですが、
中長期的には高血圧に関しても、
予防的に働く可能性が高いと、
そう考えて大きな誤りはないようです。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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