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「戦争と人間 第一部運命の序曲」(山本薩夫監督映画版) [映画]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は土曜日で午前午後とも石原が外来を担当する予定です。

土曜日は趣味の話題です。
今日はこちら。
戦争と人間.jpg
山本薩夫監督の「戦争と人間」は、
五味川純平の長編小説を、
ロマンポルノ路線に舵を切る前の日活が、
その総力を挙げて製作した大作で、
「指輪物語」みたいに3部に分けて製作されました。

今日ご紹介するのはその1作目で、
公開は1970年。
2作目が1971年で、3作目が1973年です。

山本薩夫監督は、バリバリの左翼監督で、
非常に思想性の強い映画を作っていたのですが、
1960年代から娯楽映画の大作に方針転換。
1966年の「白い巨塔」が大ヒットして、
それからそれから立て続けに、
「不毛地帯」、「金環蝕」、「華麗なる一族」などの、
ケレン味に溢れた大作を、
次々と発表します。

僕はこの辺りの映画が以前は凄く好きで、
僕の成長過程にも、
少なからず影響を与えたような気もします。
ただ、最近観直すと、
如何にもの強引なアジテーションがちょっとね、
鼻白む思いはします。
まあ、メディアも含めて当時は、
こうしたアジテーションが、
まっとうに思えた時代だったのです。

僕はただ、今観てもこの「戦争と人間」の第一部だけは、
非常に好きで、殆どのカットを空で言えるくらい、
何度もこの映画を観ています。

実際には、大画面で観たことはありません。

最初に観たのが小学生の時で、
確か第三部の公開に合わせて、
テレビで放映されたのです。

その後テレビで何度か観て、
ビデオが出たのでそれを観て、
それからDVDが出たのでそれを買い、
wowow で放送したものも録画しました。
wowow 版は高画質を期待したのですが、
DVDの原版をただハイビジョン用にしただけのもののようで、
画質はDVDと全く変わりはありませんでした。

この映画は昭和3年に始まり、
同年に起こった張作霖暗殺事件が前半のクライマックスで、
後半は昭和6年の柳条湖事件から、
日中戦争突入までを描きます。
陰謀と夢が渦巻く満州と、日本国内とを対比させながら、
架空の新興財閥伍代家の人々の群像劇が、
様々な階層の人々を対比させつつ展開されます。

主人公は伍代家の次男坊で、
そのおぼっちゃまが、
虐げられた人々との交流を経て、
次第に財閥と軍部が支配する世の中に、
疑問を抱いてゆく訳です。
この主人公の少年時代を、
かつての勘三郎が名子役として演じ、
第二部以降は北大路欣也が引き継ぎます。

ただ、この映画の魅力はその部分ではなく、
悪の魅力を放つ、
伍代家と軍部の面々です。

満州の伍代産業の社長に芦田伸介が扮し、
その配下に三国連太郎がいるのですが、
この2人は本当に素晴らしくて、
今観直してもワクワクします。
芦田伸介の愛人に岸田今日子で、
これも非常に気分です。

僕も勿論戦時中のことなどは知りませんが、
ある程度リアルにこの時代のことが再現出来たのは、
おそらくこの映画くらいが最後だと思います。
(この映画でも第三部はかなり怪しい感じです)
芦田伸介は実際に、
ノモンハン事件に出兵しているんですよ。

古い時代を舞台にした作品は、
もう新たには作っては欲しくないな、
というのが、僕の希望です。

今日は僕の好きな映画の話でした。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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