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痛風発作を予測するマーカーの有効性 [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は水曜日なので、
診療は午前中で終わり、
午後は溜まった仕事を、
少しでも減らそうと思っています。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
CA72-4の痛風発作予測効果.jpg
2020年のRheumatology誌に掲載された、
保険適応もされている腫瘍マーカーの検査が、
痛風発作の予測に有効なのではないか、
という興味深い研究報告です。

痛風発作というのは、
身体で過剰な尿酸由来の結晶が関節内に沈着し、
そこに自己炎症と言うメカニズムによって起こる、
特有の強い痛みを伴う発作性の関節炎のことです。

尿酸値が高いことがこの痛風発作のリスクとなり、
薬で持続的に尿酸値を低下させると、
その発作が抑制されることは臨床的に実証された事実です。

ただ、尿酸値が高いだけで、
全ての方が発作を起こすという訳ではありません。
上記文献の記載によれば、
高尿酸血症の患者さんのうち、
痛風発作を起こすのは1割に過ぎません。

本来は尿酸値のみではなく、
痛風発作の起こりやすさを示す、
マーカーのようなものがあれば、
どの患者さんを治療すべきかの目安になり、
臨床的には有用性が高いのですが、
実際にはそうしたマーカーは見つかっていません。

ここにCA72-4という血液検査があります。
この検査は癌で比較的特異的に上昇する蛋白質を測定するもので、
胃癌、卵巣癌、乳癌、肺癌、大腸癌などで上昇することが知られており、
癌の補助的診断として、
日本で保険適応もされている検査です。

上記文献の著者らは、
このマーカーが癌以外に、
高尿酸血症の患者さんの一部でも、
異常値となることを発見し、
722名の高尿酸血症の患者さんにこの検査を施行して、
半年間の経過観察を行い、
その結果を検証しています。
また高尿酸血症の833名とコントロールの541名、
関節リウマチの532名などでこのマーカー値の比較を行っています。

その結果、
CA72-4の数値は、
コントロールで1.59(95%CI: 0.99から3.39)U/mLであるのに対して、
痛風発作のない高尿酸血症では1.47(95%CI: 0.87から3.29)、
関節リウマチでは1.58(95%CI: 0.95から3.37)、
とほぼ同じような数値を示したのに対して、
痛風関節炎の患者さんでは4.55(95%CI:1.56から32.64)と、
著明な高値を示しました。

痛風の患者さんのうち、
過去1年間に2回以上の発作を起こした人は、
起こさない人よりCA72-4が高値を示していて、
このマーカーが6.9U/mLを超えていると、
超えていない場合と比較して、
その後半年の痛風発作発症リスクは3.89倍(95%CI:3.10から4.87ら)と、
有意に増加していて、
この発作のリスクは、
コルヒチンの予防的投与により、
著明に低下することも確認されました。

このように、
痛風の患者さんが発作を起こすかどうかの予測のために、
CA72-4を測定することには有効性があることは、
今回の結果からは間違いがないようです。

この数値を測定することにより、
高尿酸血症の患者さんのうち、
積極的に治療する対象を、
絞り込むことも出来そうです。

ただ、このマーカーは癌でも上昇するので、
その高値をどのように判断するのかは、
まだ検証が必要であるように思います。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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