「ミッドサマー」 [映画]
こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。
今日は日曜日でクリニックは休診です。
休みの日は趣味の話題です。
今日はこちら。
ホラーに抜群の切れ味を見せる、
気鋭のアリ・アスター監督の新作「ミッドサマー」が、
今ロードショー公開されています。
これはホラーのあるジャンル物なのですが、
主人公を精神的に不安定な、
ボーイフレンドにとって「面倒な」こじれ女子に設定することで、
上手く現代化に成功しているのがポイントです。
ある悲劇でトラウマを負った主人公が、
友人と共に訪れたスウェーデンで、
別の悪夢に巻き込まれるという物語。
ジャンルは「ウィッカーマン」に、
その構成は「ハウリング」に似ています。
堤幸彦さんのTRICKシリーズにも似ています。
僕はこの全てが大好物なので、
今回の作品は相当ツボでした。
色彩に溢れた陽光輝く戸外で、
殆どの場面が展開され、
おとぎ話が悪夢に反転するという趣向が鮮やかです。
ショッカーとしての残酷描写もツボを押さえていて、
なかなか迫力がありますし、
それでいて、リアルにし過ぎてはおらず、
童話的な雰囲気が一貫している点もセンスを感じます。
でもこんなお話にして、
スウェーデンには怒られないのかしら、
その点はちょっと気になりました。
これは1つの優れたジャンル作として観る必要がある映画です。
こうした映画を、
あまり観たことがない、
という方には向いていません。
そうした方は、
多分ダラダラして思わせぶりで、
同じような場面が無駄に長く、
辻褄も合わない点が多い、
というように思われるかも知れません。
ただ、このジャンルの映画は、
エリンの「特別料理」のように、
分かり切った真相をわざわざ思わせぶりだけで引き延ばし、
「見えそうで見えない」という感じが定石なのです。
同じような繰り返しの持つ呪術的なリズムが、
観客の生理に響き合い、
次第に心地良いリズムをなしながら、
最後の「燃え上がる納屋」のようなカタルシスに、
持ってゆく忍耐力が魅力なのです。
真相は理詰めで全て分かるようでは怖くはならないので、
如何に真相を曖昧にしつつ、
観客に「何かは分かった」という、
最小限の理解を与えることが、
これも作り手の腕の見せ所なのです。
その意味で、
この映画はジャンル作としては非常に優れたもので、
生まれながらにしてカルトの風格を醸していたと思います。
マニアックな藝術ホラーのファンであれば、
絶対の贈り物と言って良い絶品です。
今ジョーダン・ピールとアリ・アスターからは、
目が離せません。
それでは今日はこのくらいで。
皆さんも良い休日をお過ごし下さい。
石原がお送りしました。
北品川藤クリニックの石原です。
今日は日曜日でクリニックは休診です。
休みの日は趣味の話題です。
今日はこちら。
ホラーに抜群の切れ味を見せる、
気鋭のアリ・アスター監督の新作「ミッドサマー」が、
今ロードショー公開されています。
これはホラーのあるジャンル物なのですが、
主人公を精神的に不安定な、
ボーイフレンドにとって「面倒な」こじれ女子に設定することで、
上手く現代化に成功しているのがポイントです。
ある悲劇でトラウマを負った主人公が、
友人と共に訪れたスウェーデンで、
別の悪夢に巻き込まれるという物語。
ジャンルは「ウィッカーマン」に、
その構成は「ハウリング」に似ています。
堤幸彦さんのTRICKシリーズにも似ています。
僕はこの全てが大好物なので、
今回の作品は相当ツボでした。
色彩に溢れた陽光輝く戸外で、
殆どの場面が展開され、
おとぎ話が悪夢に反転するという趣向が鮮やかです。
ショッカーとしての残酷描写もツボを押さえていて、
なかなか迫力がありますし、
それでいて、リアルにし過ぎてはおらず、
童話的な雰囲気が一貫している点もセンスを感じます。
でもこんなお話にして、
スウェーデンには怒られないのかしら、
その点はちょっと気になりました。
これは1つの優れたジャンル作として観る必要がある映画です。
こうした映画を、
あまり観たことがない、
という方には向いていません。
そうした方は、
多分ダラダラして思わせぶりで、
同じような場面が無駄に長く、
辻褄も合わない点が多い、
というように思われるかも知れません。
ただ、このジャンルの映画は、
エリンの「特別料理」のように、
分かり切った真相をわざわざ思わせぶりだけで引き延ばし、
「見えそうで見えない」という感じが定石なのです。
同じような繰り返しの持つ呪術的なリズムが、
観客の生理に響き合い、
次第に心地良いリズムをなしながら、
最後の「燃え上がる納屋」のようなカタルシスに、
持ってゆく忍耐力が魅力なのです。
真相は理詰めで全て分かるようでは怖くはならないので、
如何に真相を曖昧にしつつ、
観客に「何かは分かった」という、
最小限の理解を与えることが、
これも作り手の腕の見せ所なのです。
その意味で、
この映画はジャンル作としては非常に優れたもので、
生まれながらにしてカルトの風格を醸していたと思います。
マニアックな藝術ホラーのファンであれば、
絶対の贈り物と言って良い絶品です。
今ジョーダン・ピールとアリ・アスターからは、
目が離せません。
それでは今日はこのくらいで。
皆さんも良い休日をお過ごし下さい。
石原がお送りしました。
2020-03-01 09:03
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