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「9人の翻訳家 囚われたベストセラー」 [映画]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は日曜日でクリニックは休診です。

休みの日は趣味の話題です。
今日はこちら。
9人の翻訳家.jpg
これは日本公開は珍しい、
フランス・ベルギー合作のフランス語のスリラーで、
フランス発の世界的大ベストセラーを、
世界同時発売するために、
9か国語の翻訳家がフランスの洋館の地下シェルターに集められ、
そこで極秘裏に翻訳作業が行われていると、
秘密の筈の原稿が流出して、
出版社の社長に脅迫状が届き…
というかなり興味深く斬新なつかみの作品です。

ダン・ブラウンの「インフェルノ」が、
同様に極秘裏に多国語に翻訳されて、
世界同時発売されたという実話がヒントになっているようですが、
発想はとても面白いと思います。

ただ、映画として面白いかと言うと、
そこは微妙なところで、
色々と工夫はされているのですが、
ハリウッド製や韓国製と比べると、
つかみの割にその後の展開は、
何かモタモタしていて盛り上がりませんし、
ラストも何となく読めてしまって驚きはありません。

前半の心理劇の部分を、
もう少しじっくりと描いて、
「誰が犯人なのかしら」
と観客が推理出来るような雰囲気になると、
ミステリーとしての深みが出たと思うのですが、
2年後と交錯させたり、
真相を小出しに明らかにしたりと、
小細工をし過ぎて却って失敗している、
という印象があります。

原稿がどうやって流出したのか、
という謎が1つの核になるのですが、
最初から「そんなの幾らでも機会があったでしょ」
という気分になるので、
それでサスペンスが盛り上がるという感じにならないのです。
ここは「絶対に地下シェルターから流出した」ということを、
観客に納得させるような説明が、
必要であったように思います。

これね、
9か国語というのが、
英語、中国語、デンマーク語、ドイツ語、イタリア語、
ギリシャ語、スペイン語、ポルトガル語、ロシア語
なんですよね。
中国以外は全てヨーロッパでしょ。
「インフェルノ」の時はどうだったのかしら。
何かヨーロッパ人の思考が垣間見えるようで、
ちょっと腹が立ちますよね。

そもそもフランス発の世界的ベストセラーなんて、
勿論ないわけではありませんが、
それほど聞かないでしょ。
それから後半で、
「オリエント急行殺人事件」の犯人は?
という台詞があって、
「〇〇です」とネタバレしているんですよね。
これもひどいな。

総じて「老害批判」みたいなテーマなんですよね。
それも底が浅くて釈然としません。

そんな訳でとても面白い設定の作品ではあったのですが、
色々と綻びがあって、
思ったほど盛り上がる映画にはなっていなかったように思います。

DVDか配信で充分かな。

それでは今日はこのくらいで。

皆さんも良い休日をお過ごし下さい。

石原がお送りしました。
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