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動物性タンパク質の摂取と健康影響(2020年アメリカの疫学データ) [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は金曜日でクリニックは休診ですが、
老人ホームの診療などには廻る予定です。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
動物性タンパク質と生命予後.jpg
2020年のJAMA Internal Medicine誌に掲載された、
肉や魚といった動物性タンパク質の摂取量と、
心血管疾患リスクと生命予後との関連を検証した論文です。

ソーセージやベーコンのような加工肉を多く摂ることが、
心血管疾患のリスクを増やし、
死亡リスクも増加させるということは、
これまでの多くの疫学データにおいて、
ほぼ実証されている事項です。

ただ、加工肉以外の動物性蛋白源、
牛肉や豚肉などの赤身肉、鳥肉、貝を含む魚などに、
同じようなリスクがあるのかどうか、
というような点については、
未だ明らかではありません。

そこで今回の研究では、
アメリカで施行された6つのコホート研究に含まれる、
トータル29682名の住民データを活用することで、
動物性タンパク質の摂取と健康との関係を検証しています。

加工肉はベーコンが13グラム(2枚)、
ホットドッグが45グラム(1本)、
サラミやソーセージは28グラム(1本)が、
1サービング(1人前)として計算されています。
赤身肉と鳥肉は1サービングが102グラム、
魚は1サービングが74グラムとなっています。

中央値で19.0年の観察期間において、
週に2サービングの加工肉を増やすことにより、
心血管疾患のリスクは7%(95%CI:1.04から1.11)、
同じように週に2サービングの赤身肉を増やすことにより、
心血管疾患のリスクは3%(95%CI:1.01から1.06)、
鳥肉を増やすことにより4%(95%CI:1.01から1.06)、
それぞれ有意に増加していました。
一方で貝を含む魚を多く摂っても、
心血管疾患のリスクの増加は有意には認められませんでした。

総死亡のリスクについては、
週に2サービングの加工肉を増やすことにより、
総死亡のリスクは3%(95%CI:1.02から1.05)、
週に2サービングの赤身肉を増やすことにより、
総死亡のリスクは3%(95%CI:1.01から1.05)、
それぞれ有意に増加していました。
一方で鳥肉や魚を多く摂っても、
総死亡のリスクの増加は有意には認められませんでした。

このように、今回の検証においては、
加工肉以外に赤身肉や鳥肉の摂取量増加も、
若干ながら心血管疾患のリスクの増加に繋がり、
加工肉と赤身肉の摂取量増加は、
総死亡リスクの増加にも結び付いていました。

しかし、そのリスク増加はそれほど大きなものではなく、
こうした食品は「食べ過ぎない」ということに力点を置いて、
上手に付き合うことが肝要であるように思います。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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