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コーヒーと癌発症リスク(2020年のアンブレラレビュー) [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は午前午後ともいつも通りの診療になります。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
コーヒーと癌リスクアンブレラレビュー.jpg
2020年のBMC Cancer誌に掲載された、
コーヒーと癌リスクについての論文です。

コーヒーを1日3から4杯くらい飲むことが、
心血管疾患や糖尿病、脂質異常症などのリスクを下げ、
生命予後にも良い影響を与えることは、
これまでの多くの精度の高い疫学データにより、
ほぼ確立された事実です。

ただ、それではどんな病気にも、
コーヒーは予防的に働くのかと言うと、
勿論そうしたことが証明されているという訳ではありません。

癌の発症リスクについては、
まだコーヒーの健康効果が認められる前に、
コーヒーを多く飲む人では膀胱癌が多い、
という複数のデータが報告されています。
その一方でトータルな癌のリスクはコーヒーを飲む人の方が低い、
という報告も複数あり、
また肝臓癌については、
コーヒーの予防効果を期待させるような結果が、
これも複数報告されています。

コーヒーと癌リスクについての関連は、
まだクリアになっているとは言えないのです。

そこで今回の研究では、
これまでの臨床データや疫学データを、
まとめて解析したメタ解析の複数の論文を、
更にまとめて解析する、
アンブレラレビューと呼ばれる手法により、
これまでの「集合知」としてこの問題を検証しています。

これまでの28のメタ解析のデータをまとめて解析した結果として、
肝臓癌と子宮体癌(子宮内膜癌)については、
コーヒーの摂取量が多いほどその発症リスクが低下する、
という関連が認められました。
その一方で小児の急性リンパ性白血病と膀胱癌については、
コーヒーの摂取量の多い群でそのリスクが増加する結果が得られました。
ただ、最終的なメタ解析の結果としては、
有意であったのは肝臓癌と子宮体癌のリスク低下のみでした。

このように今回のアンブレラレビューの結果では、
肝臓癌と子宮体癌に限ると、
コーヒーはそのリスクの低下に関連しているようです。
ただ、他の癌については明確なことは言えず、
特に膀胱癌と急性リンパ性白血病のリスク増加については、
今後の検証が必要であるように思います。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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