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新型コロナウイルス肺炎99入院事例まとめ(単一施設Lancet) [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は午前午後ともいつも通りの診療になります。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
コロナウイルス肺炎99例の検証.jpg
Lancet誌に2020年1月29日にウェブ掲載された、
武漢市発新型コロナウイルス肺炎(2019-nCoV)の、
最初のまとまった単一施設の報告です。

その後先日ご紹介した、
JAMA誌の138例の報告が続くという格好になります。
ご紹介は前後する形になることをご了承下さい。

こちらは武漢市金銀潭病院(Wuhan Jinyintan Hospital)での、
2020年1月1日から1月20日に新型コロナウイルス肺炎と診断された、
99例の入院事例がまとめて解析されています。
1月25日までの経過が確認されています。

JAMA誌の論文の対象病院よりも、
初期治療に当たっていた施設のようで、
入院の時点で3分の1の患者に呼吸困難があり、
17名は急性呼吸窮迫症候群を、
8名は急性肺障害を、3名は急性腎障害を、
4名は敗血症の状態になっています。

全体の49名(49%)が武漢市の海産物市場の関係者で、
平均年齢は53.5歳、男性が67名、女性32名と、
明確な性差が認められています。
50名には慢性病の基礎疾患が認められています。

血液検査の特徴はリンパ球の減少で、
リンパ球数は平均で900、
35%の35名は基準値下限の1100を下回っていました。

1月25日の時点で、
患者の31%に当たる31名は退院しており、
11名は死亡しています。

この論文では、
基礎疾患のある高齢者で男性に、
新型コロナウイルス肺炎は感染して重症化しやすい、
という臨床像が強調されています。
確かにこの99名の解析では、
そうした傾向が認められていますが、
前回ご紹介したJAMA誌のデータでは、
男性は54.3%で、
基礎疾患のあるのは46.4%でそれも軽症が多かったので、
少しニュアンスは異なっています。
ただ、JAMA誌の事例には院内感染が多く含まれているので、
単純に比較は出来ないようにも思います。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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