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コーヒーの骨粗鬆症予防効果(韓国の疫学データ) [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は午前午後ともいつも通りの診療になります。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
コーヒーと骨粗鬆症リスク韓国.jpg
2016年のPLOS ONE誌に掲載された、
閉経後の骨粗鬆症リスクと、
コーヒーの摂取量との関連についての論文です。

コーヒーに心血管疾患や糖尿病、
パーキンソン病などの予防効果があり、
生命予後にも良い影響を与えることは、
ほぼ確立した事実です。

ただ、骨粗鬆症や骨量、
骨の健康についてのコーヒーの効果については、
良いという意見がある一方、
相反するような報告もあって一定していません。

先日ご紹介した、
2019年のJournal of Clinical Endocrinology & Metabolism誌に掲載された論文では、
カフェインやクロロゲン酸という、
コーヒーに含有される物質の代謝物の一部に、
骨量との相関が認められました。
コーヒーが骨に良いのではないか、
ということを示唆する結果です。

今回の研究は、
韓国の大規模疫学データを解析したもので、
アンケートによるコーヒーの摂取量と、
DXA(デキサ)法による骨量との関連を検証したものです。
対象人数は閉経後の女性トータル4066名です。

その結果、
コーヒーを全く飲まない人と比較して、
1日2杯以上コーヒーを飲む習慣のある人は、
骨量測定で骨粗鬆症と診断されるリスクが、
36%(95%CI: 0.43から0.95)有意に低下していて、
大腿骨頸部と脊椎の骨塩量も増加していました。

このように今回のデータからは、
コーヒーの骨粗鬆症予防効果が示唆されました。

それでは、
コーヒーの成分のうち何が骨に良い作用を持っているのでしょうか?

現状の仮説としては、
まずコーヒーに含まれる代表的なポリフェノールであるクロロゲン酸が、
抗炎症作用と抗酸化作用を持ち、
それが骨粗鬆症の進行を予防している、
という可能性が指摘されています。
骨粗鬆症は炎症により進行するという知見があり、
抗酸化剤は骨吸収を抑制するという知見もあるからです。
また、コーヒーに含まれるニコチン酸の前駆物質であるトリゴネリンが、
女性ホルモンの受容体に結合して女性ホルモン様作用を示し、
それが骨粗鬆症の予防に繋がっているという仮説もあります。

この結果はまだ確定的なものではありませんが、
最近の報告の傾向をみると、
1日3杯程度のコーヒーを飲む習慣は、
骨にも対して良い影響を与える可能性が高いと、
そう考えて大きな問題はなさそうです。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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