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「パラサイト 半地下の家族」 [映画]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は土曜日で、
午前中は石田医師が外来を担当し、
午後2時以降は石原が担当する予定です。

土曜日は趣味の話題です。
今日はこちら。
パラサイト.jpg
韓国の名匠ポン・ジュノ監督の新作で、
昨年のカンヌ映画祭でパルムドールを獲得した、
「パラサイト 半地下の家族」を観て来ました。

これは個人的な好みとしては、
それほど好きな映画ではないのですが、
ともかく完成度は素晴らしくて、
中段はちょっと長いな、という気はしますが、
ややあざといやり過ぎの部分も含めて、
娯楽性も充分で、
カンヌのパルムドールにはふさわしい作品だと思います。

カンヌはこういう「やり過ぎ感」のある映画が好きですね。

この映画は極力内容を知らずに観た方が面白いので、
以下の文章は本編鑑賞後にお読みください。

今年観て損はない1本です。

これはパルムドールも納得の見事な作品で、
半地下に身を寄せ合って暮らす4人の家族が、
丘の上の大豪邸の娘の家庭教師に、
ひょんな伝手で身分を偽って入り込み、
それからあの手この手で金持ち家族に取り入って…
というあらすじを聞くと、
古典ミステリーの「銀の仮面」などに親しんだ身には、
「何かありきたりだな」と思うのですが、
オープニングの語り口の見事さだけで、
既にその虜になり、
そこから本当にあれよあれよと、
ジェットコースターのような怒涛の展開に、
口があんぐり、という感じになります。

この構成力というか、
伏線の張り方にしても、
人物の作り方にしても、
映像の精度にしてもただ事ではありませんし、
大邸宅の見事なセットや、
大雨による冠水シーンなど、
そのお金の掛け方も凄いと思います。

内容はクドカンに似ていますから、
こうした映画やドラマは日本でも作れなくはないと思いますが、
こんなにお金は掛けられませんし、
このリアリティを再現することは無理だと思います。

ただ、後はもう好みの問題になりますが、
後半の展開はちょっとくどくて建設的でないと言うか、
結局そういう殺し合いで決着してしまうしかないのなら、
あまりに救いがなさすぎるのではないかしら、
生き残る人と死ぬ人とのバランスや、
その理由があまりに即物的過ぎやしないかなあ、
という思いには囚われてしまいます。
ラストが非常にきれいでうまいでしょ。
そこがまた、ちょっとずるい感じがするんですよね。
悪人をいい人に巧妙にすり替えるような感じと言うか、
それがちょっとフェアでない、
という気がしてしまいました。

この映画の構造はちょっと童話的なところがあるんですよね。
ただ、童話になりきれていない、と言うか、
せっかくここまで緻密な世界を構築したのだから、
ああいう惨劇ではなくて、
他に何かありようがなかったのかな、
もっと笑ってしまうような、
馬鹿馬鹿しい解決でも良かったのではないかしら、
というようには思ってしまいました。

あの殺し合いがね、必然であればいいのですが、
あまり段取り的にも、
必然にはなっていないと思うんです。
強引に殺し合いにもっていった、という感じでしょ、
そこがちょっと引っ掛かるのです。
タランティーノの殺し合いは、
これはもう必然なんですよね。
あれしかない、という感じだから良いのですが、
この作品の惨劇はそうではない、
と僕は思います。

ただ、繰り返しになりますが、
それはもう本当に好みの問題で、
この映画が傑作であること自体は、
まぎれもない事実だと思います。

皆さんはどうでしょうか?

こういうの好きですか?

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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