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体内時計と皮膚の紫外線予防効果 [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は午前午後ともいつも通りの診療になります。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
体内時計と皮膚の免疫.jpg
2017年のCell Rep.誌に掲載された、
食事時間の違いにより皮膚の防御機能が変化する、
という興味深い報告です。

人間の身体にはほぼ24時間のリズムで周期的に時を刻む、
体内時計があることが知られています。

個々の細胞には時計遺伝子と言われる複数の遺伝子があって、
それが日内リズムに同期して時を刻んでいます。

その一方で細胞が集合した組織により構成された人体にも、
体内時計の司令塔があり、
脳の視交叉上核という部分にあることが分かっています。
この脳の時計は太陽などの光刺激に反応して、
身体が光を感知した時間で時計を合わせ、
朝と認識して1日を開始するのです。

要するに身体全体としても時計があり、
それを構成する個々の細胞も、
それぞれの体内時計を持っている、
ということになります。

この体内時計によって、
人間の身体の代謝がコントロールされています。
昼と夜とでは主に肝臓において、
活性化される酵素に違いがあり、
それによって代謝の違いが生じているのです。

睡眠障害は体内時計を狂わせ、
健康に多くの影響を与えることは広く知られていますが、
上記論文の著者らの研究グループが着目しているのは、
食事をする時間による体内時計への影響です。

昼の時間帯に食事をすることによって、
体内時計は正常に調節されますが、
たとえば夜中にスナック菓子を食べたり、
ラーメンを夜食に食べたりすれば、
それも体内時計に少なからぬ影響を与えるのです。

哺乳類の皮膚の細胞は、
日光の紫外線によるダメージを受け、
それが皮膚癌などの発症に繋がっています。

それでは、こうした紫外線による皮膚のダメージに、
体内時計は影響しているのでしょうか?

今回の研究はネズミにおいて、
生理的で通常の夜間帯に食事をした場合と、
昼間の時間帯に食事をさせた場合とを比較したところ、
体内時計により調節される皮膚細胞の遺伝子発現には、
変化は見られなかった一方で、
皮膚の紫外線によるダメージを、
修復する作用を持つ遺伝子の発現は、
昼間の時間帯の食事では抑制されていた、
という結果が得られた、というものです。

やや強引ですが、
これを人間に置き換えて考えると、
通常の状態である昼に食事を摂る習慣を、
夜中のお菓子やラーメンなどに変えることにより、
体内時計が乱れて、
皮膚の紫外線防御機能が低下し、
肌荒れや皮膚癌の原因となる可能性がある、
というのが上記文献の著者らの指摘です。

確かに夜更かしや夜の大食いは肌荒れなどの原因となり、
だるさなどの体調不良にも繋がることは、
誰でも実感として事実と感じているところだと思います。

そのメカニズムとして、
代謝やホルモンの影響などが想定されていましたが、
体内時計の研究の進歩により、
また別個のメカニズムも想定出来る、
ということなのだと思います。

いずれにしても、
人間は生物としては、
昼間に食事を摂るような生活が、
健康のためには良いことは、
最新の研究結果でも動かない事実であるようです。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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