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ファン・ディエゴ・フローレス テノールコンサート(2019) [コロラトゥーラ]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は土曜日で午前午後とも石原が外来を担当します。

土曜日は趣味の話題です。
今日はこちら。
ファン・ディエゴ・フローレス.jpg
2019年の12月に世界で最も人気のあるテノール歌手の1人、
ファン・ディエゴ・フローレスが来日して、
東京では場所を変えて2日間のコンサートを開催しました。

まさに待望の来日です。

フローレスは長くロッシーニの、
アジリタなどの装飾技巧を駆使する歌唱における第一人者で、
「セビリアの理髪師」のラストのテノールの大アリアなど、
その歌唱の困難さやアリアの長さから、
カットされることが通例であった多くの難アリアを復活させ、
ロッシーニやバロックオペラなどの歌唱を一変させました。

レジェ―ロという、
テノールでも最も高く繊細な声質ですが、
その歌唱は絢爛豪華で、
その技術は超絶技巧にと言うにふさわしく、
コロラトゥーラとしては声量もあるために、
前に充分に飛ぶ声で、
メトロポリタン歌劇場のような大空間においても、
遜色のない堂々たる歌唱を披露したために、
瞬く間に世界のスターに上り詰めました。

僕も個人的には強い声のコロラトゥーラとして、
女性ではデセイ様、男性ではフローレスが、
別格1位でした。

フローレスはまだ売れっ子になる前にリサイタルなどで来日し、
2002年にボローニャ歌劇場の来日公演で「セビリアの理髪師」を歌い、
2006年にもボローニャの来日で「連隊の娘」を歌いました。
これは両方とも聴きましたが抜群でした。
その後2011年に震災のために来日予定がキャンセルとなり、
今回は2006年以来の来日ということになります。

まさに待望の来日でした。

今回のリサイタルは、
サイン会などの予定は全て中止となったのですが、
リサイタル自体は無事に行われました。

10日はピアノ伴奏でオペラシティ、
14日はオーケストラ伴奏でサントリーホールでした。
演目にはロッシーニは14日の歌曲しかなく、
あれあれ、という感じであったのですが、
年齢的にも歌う演目を変えて、
ベルカントに移行しようという時期であるようでした。

フローレスが「ラ・ボエーム」や「トゥーランドット」のアリアを歌う、
というのですから、
かつてを知っていると、
あれあれ、という感じがあるのですが、
声質もかなり太くなっていて、
もう輝かしい高音がバシバシ、という感じではなかったので、
もうロッシーニを歌うことはないのかな、
というように感じました。
高速のアジリタなどは片鱗もありませんでしたね。
2日目のアンコールの本当にラストで、
「連隊の娘」のアリアを、
さわりだけ歌って大盛り上がりであったのですが、
昔の輝かしい声ではありませんでした。

テノール歌手の多くはこうしてスタイルを変えて行くのでしょうから、
それはもう仕方のないことで、
フローレスももう、
そうした年齢に達しているのだな、
というように納得はするのですが、
個人的にはもうフローレスは良いかな、
というようには思ってしまいました。

誰か良いコロラトゥーラはいないかしら。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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