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北村想「風博士」 [演劇]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日までクリニックは年末年始の休診です。
明日はいつも通りの診療になります。

休みの日は趣味の話題です。
今日はこちら。
風博士.jpg
北村想さんが過去の文豪の作品に想を取り、
実力派のキャストに寺十吾さんの名演出で人気のシリーズの、
今回は6作目になります。

今回は坂口安吾の「風博士」が題材となっています。
と言っても、
原作とはほぼ関連はなく、
戦争中の中国大陸の何処かを舞台として、
戦争など何処吹く風と、
飄々と生きる中井貴一さん演じる主人公と、
彼を巡る人間模様を描きます。

何処かユーモラスでのんびりとした、
牧歌的な時間が流れ、
後半はサバイバル的に大陸を逃げ延びることになるのですが、
それでもそう深刻な空気は流れません。

ただ、ラストに至って、
達観したような雰囲気の中に、
拭いきれぬ絶望のようなものも漂っていて、
ちょっと底の知れないような味わいもあるのです。

今回の作品はかつての劇団時代の北村作品や、
代表作とされる「寿歌」などを彷彿とさせるような、
行き当たりばったりでいい加減で、
牧歌的でちょっと切ない独特の世界に、
回帰したような作品です。
ロードムービー的味わいは「寿歌」に似ています。

その意味でとても懐かしく鑑賞しました。

キャストは中井貴一さんを始めとして、
吉田羊さん、段田安則さん、趣里さん、林遣都さんと、
1本に出演するのはもったいないくらいの豪華な顔ぶれですが、
中では趣里さんの役柄がかつての北村作品の、
特徴的なスタイルを良く表現していて、
感心しましたし、懐かしくも感じました。

僕は昔はあまり北村さんの良い観客ではなく、
その適当ともとれるような作品作りに、
あまり感心しなかったのですが、
今になってみると矢張り唯一無二の世界で、
それがこのシリーズでは、
心に少し空き部屋がないと、
理解が難しいような大人の芝居として成立していて、
今ではとても楽しみです。

それでは今日はこのくらいで。

皆さんも良い年始をお過ごし下さい。

石原がお送りしました。
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