今村昌弘「魔眼の匣の殺人」 [ミステリー]
こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。
今日は土曜日で、
午前中は中村医師が、
午後2時以降は石原が担当する予定です。
土曜日は趣味の話題です。
今日はこちら。
今村昌弘さんの新作ミステリー「魔眼の匣の殺人」を読みました。
ミステリ―は中学から高校の頃が、
一番のめり込んでいた感じで、
早川ミステリの絶版本を求めて、
神保町を何度も彷徨いました。
大学になって新本格と言われる、
外連味のある本格ミステリーが、
猿之助の復活歌舞伎のように復興し、
それが「金田一少年の事件簿」以降、
漫画の世界に広がることで、
その裾野は一気に拡大して今に至っています。
江戸川乱歩の「続幻影城」を読んで、
カーのミステリーの絶版を悲しみ、
早川ミステリ文庫の発刊にワクワクし、
雑誌の「幻影城」で泡坂妻夫さんの短編に驚き、
「匣の中の失楽」の連載を高校1年の孤独な春に、
読みふけったことも今では遠い思い出です。
さて、今村さんのデビュー作の「屍人荘の殺人」は、
2017年のミステリー界の話題をさらったヒット作で、
あるホラーなどにお馴染みの設定と、
クイーン流の犯人絞り込みのロジックの謎解きを、
組み合わせたミステリーです。
雰囲気は新本格などの館ものですが、
ミステリーのロジックとリアルでない設定を同居させた発想は、
アシモフのSFミステリーと同じです。
アシモフの「鋼鉄都市」では、
プログラム上人間を殺せない筈のロボットが、
人間を殺したとしか思えない状況が、
ミステリーとして設定されていたのですが、
それを別のテーマでミステリー化しているのです。
ただ、個人的にはあまり面白く感じませんでした。
もう脳が老化しているので、
犯人絞り込みのロジックの部分が、
ごちゃごちゃとして面倒にしか思えません。
また、超自然的な設定の方が、
館の中のチマチマした殺人より、
間違いなく大きいので、
大きな事件は解決しないのに、
チマチマした殺人のみ解決するというのでは、
本末転倒で安易であるように感じたのです。
今回はその続編ですが、
前作の設定は踏襲しつつ、
今度は「予言」をテーマにしています。
通常のミステリーでは、
予言というのは基本的にトリックなのですが、
今回はトリックとは思えない予言がバンバン出現し、
ははあ、要するにこれもミステリーと超自然のミックスなのね、
ということが分かります。
今回はラストに、
如何にもミステリー的な捻りがあるので、
前作よりミステリーとしての満足感が高いものになっています。
小さなトリックを積み上げる感じは、
クレイトン・ロースンみたいでしたね。
ただ、矢張り大枠にある謎は、
リアルにせよ超自然的にせよ解決はされないので、
モヤモヤする感じが残ることは同じです。
あと、昔流行った、
大きな木の棒が忽然と現れるという、
マジックネタを利用したトリックがあるのですが、
これはさすがにしょぼくてガッカリしました。
多分マジック好きでない方は、
本文を読まれてもなんのことか分からないと思うのですが、
実際にそうしたネタがあるのです。
ただ、これは出現であって消失の仕掛ではないので、
本文を読む限り成立しないと思いました。
こういうのは僕は嫌いです。
そんな訳で今回もあまり乗らなかったのですが、
一部は脳の老化のせいかなあ、と思うところもあるので、
久しぶりに本家のクイーンでも、
じっくり読んでみようかな、
などと思っています。
それでは今日はこのくらいで。
今日が皆さんにとっていい日でありますように。
石原がお送りしました。
北品川藤クリニックの石原です。
今日は土曜日で、
午前中は中村医師が、
午後2時以降は石原が担当する予定です。
土曜日は趣味の話題です。
今日はこちら。
今村昌弘さんの新作ミステリー「魔眼の匣の殺人」を読みました。
ミステリ―は中学から高校の頃が、
一番のめり込んでいた感じで、
早川ミステリの絶版本を求めて、
神保町を何度も彷徨いました。
大学になって新本格と言われる、
外連味のある本格ミステリーが、
猿之助の復活歌舞伎のように復興し、
それが「金田一少年の事件簿」以降、
漫画の世界に広がることで、
その裾野は一気に拡大して今に至っています。
江戸川乱歩の「続幻影城」を読んで、
カーのミステリーの絶版を悲しみ、
早川ミステリ文庫の発刊にワクワクし、
雑誌の「幻影城」で泡坂妻夫さんの短編に驚き、
「匣の中の失楽」の連載を高校1年の孤独な春に、
読みふけったことも今では遠い思い出です。
さて、今村さんのデビュー作の「屍人荘の殺人」は、
2017年のミステリー界の話題をさらったヒット作で、
あるホラーなどにお馴染みの設定と、
クイーン流の犯人絞り込みのロジックの謎解きを、
組み合わせたミステリーです。
雰囲気は新本格などの館ものですが、
ミステリーのロジックとリアルでない設定を同居させた発想は、
アシモフのSFミステリーと同じです。
アシモフの「鋼鉄都市」では、
プログラム上人間を殺せない筈のロボットが、
人間を殺したとしか思えない状況が、
ミステリーとして設定されていたのですが、
それを別のテーマでミステリー化しているのです。
ただ、個人的にはあまり面白く感じませんでした。
もう脳が老化しているので、
犯人絞り込みのロジックの部分が、
ごちゃごちゃとして面倒にしか思えません。
また、超自然的な設定の方が、
館の中のチマチマした殺人より、
間違いなく大きいので、
大きな事件は解決しないのに、
チマチマした殺人のみ解決するというのでは、
本末転倒で安易であるように感じたのです。
今回はその続編ですが、
前作の設定は踏襲しつつ、
今度は「予言」をテーマにしています。
通常のミステリーでは、
予言というのは基本的にトリックなのですが、
今回はトリックとは思えない予言がバンバン出現し、
ははあ、要するにこれもミステリーと超自然のミックスなのね、
ということが分かります。
今回はラストに、
如何にもミステリー的な捻りがあるので、
前作よりミステリーとしての満足感が高いものになっています。
小さなトリックを積み上げる感じは、
クレイトン・ロースンみたいでしたね。
ただ、矢張り大枠にある謎は、
リアルにせよ超自然的にせよ解決はされないので、
モヤモヤする感じが残ることは同じです。
あと、昔流行った、
大きな木の棒が忽然と現れるという、
マジックネタを利用したトリックがあるのですが、
これはさすがにしょぼくてガッカリしました。
多分マジック好きでない方は、
本文を読まれてもなんのことか分からないと思うのですが、
実際にそうしたネタがあるのです。
ただ、これは出現であって消失の仕掛ではないので、
本文を読む限り成立しないと思いました。
こういうのは僕は嫌いです。
そんな訳で今回もあまり乗らなかったのですが、
一部は脳の老化のせいかなあ、と思うところもあるので、
久しぶりに本家のクイーンでも、
じっくり読んでみようかな、
などと思っています。
それでは今日はこのくらいで。
今日が皆さんにとっていい日でありますように。
石原がお送りしました。
2019-12-14 09:38
nice!(6)
コメント(0)
コメント 0