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「Q:A Night At The Kabuki」(NODA・MAP第23回公演) [演劇]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は日曜日でクリニックは休診ですが、
終日レセプト作業の予定です。
終わるといいな…

休みの日は趣味の話題です。
今日はこちら。
Q.jpg
野田秀樹さんの新作が、
今池袋の東京芸術劇場プレイハウスで上演されています。

これはクイーンの「オペラ座の夜」をモチーフにしたもので、
その楽曲がそのまま使われ、
内容は野田版の「ロミオとジュリエット」で、
年齢の違う2人のロミオとジュリエットを、
上川隆也さんと志尊淳さん、
松たか子さんと広瀬すずさんが演じるという豪華版です。

一体どんな舞台になるのかしら、
と思って出かけると、
いきなりお話は「俊寛」から始まり、
源平盛衰記のような設定のもとに、
ロミオとジュリエットの物語が、
ほぼ原典通りに展開されます。
後半は何故かシベリア抑留物語になります。

これはねえ、今一つという感じでしたね。

キャストは豪華ですし舞台面は美しく、
衣装も綺麗で布などを使った演出も、
さすがに洗練されています。

ただ、途中15分の休憩を入れて3時間というのは、
野田秀樹さんの作品としては如何にも長いですよね。
その長さの主な原因はクイーンの楽曲にあって、
クイーンの曲を基本的にそのまま流していて、
その部分はあまり何もしないんですよね。
従って、クイーンの曲の分上演時間が長くなってしまった感じ。

これじゃ、正直あまりやる意味がなかったのではないかしら。
むしろ、ミュージカル仕立てにして、
せっかく松たか子さんも出ているのですから、
歌い上げて欲しかったと思うのですが、
これは多分クイーン側の許可が下りなかったのかな、
とは推察します。

内容もね、ロミオとジュリエットが2人ずついる意味が、
あまりあるように思えませんでした。
オープニングを見ると、
中年のおじさんおばさんが、
思いの遂げられなかったかつての恋を再構成して、
自分達の手でハッピーエンドに改変したい、
という「君の名は」的なお話に思えるのですが、
ほぼ原典通りの展開になって、
過去改変の面白みは皆無な感じですし、
後半は今度は若い2人はあまり登場せず、
死んだことにされた大人の2人の恋の顛末、
という感じになるので、
中途半端に物語が分割されてしまった、
という感じしかないのです。

2つの鏡の表裏のような世界を往還したり、
過去と未来を相対化したり、
少女の自由な無謀さが世界をかき乱したりするのは、
これまでに何度も表現された野田さんの得意の世界ですが、
今回はどうもあまり冴えたところがなく、
ギャグや言葉遊びも面白いものがありませんし、
展開にハッとするようなところもありません。

キャストでは広瀬すずさんは、
なかなかフレッシュで動きが美しく、
声も綺麗で良かったと思います。
昔の宮沢りえさんにそっくりでした。
野田さんも多分意識して寄せている感じがしましたね。
松たか子さんは今最も脂の乗っている女優さんだと思いますが、
今回くらいの出番ではもったいないと思いました。
矢張りジュリエットを2人に分けたのが、
とても残念で失敗だったと思います。

そんな訳でとても豪華な紙芝居を見せられているような、
やや平板で平面的な舞台でした。

それでは今日はこのくらいで。

皆さんも良い休日をお過ごし下さい。

石原がお送りしました。
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