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唐十郎「ビニールの城」(唐組第64回公演) [演劇]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は祝日でクリニックは休診です。

休みの日は趣味の話題です。
今日はこちら。
ビニールの城.jpg
唐組の第64回公演として、
第七病棟が1985年に上演し、
アングラ演劇の最高傑作とまで言われた「ビニールの城」が、
紅テントでは初めて上演されました。

初演の1985年は僕は大学生で、
状況劇場の「ジャガーの眼」の初演と、
秋の新人公演「少女都市からの呼び声」は観たのですが、
「ビニールの城」はどうした訳が観に行きませんでした。
後の大評判を聴いて、本当に何故観なかったのかと、
とてもとても後悔しました。
生涯最大の後悔の1つと言っても過言ではありません。

コクーンで最近上演されたものは見ましたが、
これは見るのが辛くなるような、
落胆しか感じないというお芝居でした。

今回の唐組版は、
とてもとても素晴らしい上演でした。

唐組で久保井研さんと唐先生の共同演出になってから、
その演出の緻密な素晴らしさにおいては、
最高傑作と言って過言ではありません。

以前と比べると全体に全てが小振りで、
スケール感がないことはやや物足りないのですが、
その分細かい部分まで非常に緻密に出来ていて、
仕掛けを含めた舞台セットに音効、照明、
台詞の繊細なニュアンスから、
主人公2人の切ない叙情の表現、
脇役の異形の造形の楽しさまで、
全てが高いレベルで完成されています。

役者も久しぶりに唐組の舞台に戻って来た稲荷卓央さんが、
かつて以上にエネルギッシュで情熱的な芝居を見せ、
ヒロインの藤井由紀さんは、
少しビジュアルを緑魔子さんに寄せた、
これまでとは少し違う役作りで、
その叙情性が胸を撃ちました。

脇も人形役の久保井研さんの凄みや、
岡田悟一さんと全原徳和さんのコンビの異様さなど、
唐先生の怪物的脇役の魅力を、
心ゆくまで楽しむことが出来ました。

ラストもはっとするような美しさで、
もう少し周辺の特殊効果も欲しいな、
というようには思うのですが、
これまでの唐組のラストとは、
一線を画するような美学を感じました。

総じてこの作品が名作であることを、
改めて感得した気分になる素晴らしい上演で、
唐組のリバイバル上演の頂点と言って良い、
素晴らしい舞台でした。

必見です!

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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