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コーヒーと心房細動リスク [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は午前午後ともいつも通りの診療になります。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
コーヒーと心房細動リスク.jpg
2019年のJournal of the American Heart Association誌に掲載された、
コーヒーの摂取と心房細動リスクについての論文です。

コーヒーを1日3から4杯程度まで飲むことが、
心血管疾患リスクを低下させ、
生命予後にも良い影響を与えることは、
これまでの多くの臨床データや疫学データにおいて、
ほぼ確定的な事実です。

ただ、個別の病気においては、
たとえば大動脈弁狭窄症がややコーヒー多飲で増加するなど、
コーヒーの悪影響を示唆する報告もあります。

心房細動は高齢者に多い不整脈で、
脳卒中や心不全の原因となることから、
その予防や治療に多くの研究が行われています。

高血圧や甲状腺機能亢進症、虚血性心疾患や心不全、
肥満や糖尿病などが心房細動のリスクとなることが知られていますが、
コーヒーなどのカフェインを含む飲み物も、
その心臓の刺激作用から、
心房細動のリスクになるのではない、
という指摘があります。

ただ、これまでの臨床データからは、
その関連を疑わせる報告がある一方、
無関係とする報告もあってその結果は一致していません。

今回の研究は、
アメリカの男性医師を対象とした、
大規模疫学研究のデータを活用したもので、
平均年齢66.1歳のトータル18960人を、
中間値で9年間観察した結果、
コーヒーを飲まない人と比較して、
1日1杯飲む人は15%(95%CI: 0.74から0.98)、
1日2から3杯飲む人は14%(0.76から0.97)、
それぞれ有意に新規の心房細動の発症リスクが低下していました。
1日4杯以上飲む人は、
コーヒー摂取量と心房細動リスクとの間に、
有意な関連は認められませんでした。

カフェインの摂取量と新規心房細動発症リスクとの間にも、
有意な関連は認めらませんでした。

コーヒーなどのカフェイン含有飲料が、
心疾患に無害とも言い切れませんが、
少なくとも1日コーヒー2から3杯程度までの摂取が、
心房細動のリスクになるという根拠は、
ほぼないと考えて大きな間違いはないようです。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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