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金屋の石仏 [仏像]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日までクリニックは夏期の休診です。
明日15日はいつも通りの診療になります。

休みの日は趣味の話題です。
今日は昨日に続いて奈良の石仏を観て頂きます。

今日はこちら。
金屋の石仏.jpg
俗に「金屋の石仏」として知られている石仏で、
石仏として稀少で重要文化財の指定を受けています。

非常に高い技術で作られた、
線描に近い浅い浮き彫りの、
藝術性の高い石仏です。

石仏としては非常に有名なものの1つですが、
あまりご縁がなく、
今回初めて拝観しました。

場所は奈良の桜井市で、
山辺の道の途中大神神社のそばにあります。

もとは近くの平等寺というお寺にあり、
明治の廃仏毀釈で周辺の村人が守り伝えて現代に至る、
というところは判明していますが、
一体どのような目的で誰が彫り上げたのか、
といった点については明確なことが分かっていません。

石棺の蓋が利用されているようで、
こうした作例は長岳寺の石棺仏など、
他にも存在していますが、
その目的は矢張り不明です。

作られた年代についても、
奈良時代から鎌倉時代と、
極めて幅のある推測しかされていません。

こうした線描の絵画的な石仏というもの自体、
極めて作例が少ないので、
年代の推測も困難です。
大きなものは大野寺の磨崖仏や、
その元になった笠置寺の、
今は後背の形のみ残る磨崖仏などがありますが、
もっと大味で別種のものです。
唯一柳生街道地獄谷の石窟にある磨崖仏が、
かなり近い絵画的なフォルムの線描仏で、
おそらく同じ年代のものと考えると、
平安時代の後期というのが、
妥当なところかも知れません。

ただ、そのフォルムの風格は、
天平仏や当時の絵画に近い雰囲気があり。
奈良時代と言われても否定はしがたいものがあります。

石仏は2駆あり、
右側のものが釈迦如来、
左が阿弥陀如来と言われています。

お顔の部分をもう少し拡大してみましょう。
こちらから。
金屋の石仏釈迦如来.jpg
こちらはお釈迦様で、
お顔の細かい部分まで見て取ることが出来ます。
ただ、下の方はかなりカビが覆っていて、
衣紋など判別し難くなっています。

それでは次を。
金屋の石仏阿弥陀仏.jpg
こちらは阿弥陀様ですが、
お顔は殆ど判別が出来ない状態に摩耗しています。
ただ、お身体のカビはむしろお釈迦様により被害は少ない印象です。

この石仏は小さなお堂の中にあって、
格子を通して拝観するという格好になっています。

採光は良く、格子の大きさも結構大きいので、
それほどストレスを感じることなく拝観することが出来ます。

ただ、以前拝観した方のお話などを見ると、
摩耗は最近になってより進行しているようで、
異常気象の昨今を考えると、
そろそろ室内で換気なども配慮された場所にお移り頂くのが、
望ましいようにも思いました。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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