SSブログ

口髭の皮膚癌予防効果 [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は午前午後ともいつも通りの診療になります。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
ひげの癌予防効果.jpg
2019年のJournal of the American Academy of Dermatology誌に掲載されたレターですが、
口髭と皮膚癌との関連を検証して、
興味深い臨床データの報告です。

日光角化症という病気があります。
ただの湿疹のような病名に感じられますが、
実はこれは早期の皮膚癌の一種です。

こちらをご覧ください。
日光角化症.jpg
これは自験例ではなく、
日本皮膚科学会のサイトにある事例の画像を、
トリミングしたものです。

正式な許可を得たものではないので、
もし問題があればご指摘下さい。

これは高齢者の頬の皮膚ですが、
赤いあざのようなものがあり、
その辺縁はくっきりはしていなくて、
上にかさぶたがあります。

これが日光角化症で、
紫外線を浴びる顔や手の甲の皮膚に発生する、
皮膚癌の早期の所見です。
60歳以上の高齢者に主に発生し、
この段階であれば転移はせず、
外用剤などの局所の治療で対応が可能ですが、
放っておいて進行すると、
有極細胞癌と呼ばれる悪性度の高い皮膚癌になることがあります。

さて、今回の研究はアメリカにおいて、
日光角化症の男性の患者さん200人を調査したところ、
口髭を生やしている男性では、
生やしていない場合と比較して、
下唇に発生する日光角化症のリスクが、
0.06倍(16.7分の1)という低率になっていました。

髭の存在が紫外線の悪影響を予防し、
日光角化症のリスクを低下させた可能性が示唆されます。

このように紫外線を受けるかどうかで、
このタイプの皮膚癌のリスクはかなり大きく変化し、
髪の毛や髭は、
そのリスクの低下において、
かなり重要な働きを有していると言って良いようです。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
nice!(6)  コメント(0) 

nice! 6

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。