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白衣高血圧の心血管疾患リスク [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は午前午後ともいつも通りの診療になります。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
白衣高血圧の影響.jpg
2019年のAnnals of Internal Medicine誌に掲載された、
白衣高血圧の心血管疾患リスクと生命予後についての、
これまでの報告をまとめたレビューです。

白衣高血圧というのは、
診察室で医師や看護師が測定すると高血圧である一方で、
家で自己測定をしたり、
自動血圧計などで家庭血圧を測ると、
そちらは常に正常血圧で明確な差がある、
という現象のことです。

白衣高血圧という時には、
基本的に降圧剤を飲んでいない人を対象としていますが、
高血圧で投薬治療中の患者さんが、
家庭血圧では正常であるのに、
診察室では明らかな血圧上昇を示す時には、
白衣効果と呼ぶことが一般的です。

さて、この白衣高血圧は病気でしょうか?

これは常に議論となる問題です。

現行の高血圧のガイドラインにおいては、
診察室の血圧と家庭血圧には、
概ね5mmHgの差が想定され基準値が決められていますから、
ある程度の差は折り込み済みの部分があるのですが、
家での血圧は上が120代なのに、
診察室では180を超えるというような人もいて、
こうなるとこれも1つの病気として、
捉えた方が良いというようにも思われます。
(勿論どちらの測定も正確である場合の話です)

今回のレビューはこれまでの主な臨床研究をまとめたものですが、
27の臨床研究から白衣高血圧もしくは白衣効果の、
25786名の患者さんをまとめて解析したところ、
未治療の白衣高血圧の患者さんは、
正常血圧のコントロール群と比較して、
心血管疾患の発症リスクが1.36倍(95%CI: 1.03から2.00)、
総死亡のリスクが1.33倍(95%CI: 1.07から1.67)、
心血管疾患による死亡のリスクが2.09倍(95%CI: 1.23から4.48)、
それぞれ有意に増加していました。
一方で降圧剤による治療中の白衣効果については、
そうした心血管疾患リスクや生命予後の悪化は、
認められませんでした。

このように未治療の場合の白衣高血圧は、
高血圧に準じて考えた方が良く、
その時点での降圧剤の使用は、
低血圧のリスクが高いので推奨されませんが、
禁煙や塩分制限、生活改善などの介入と、
経過観察は重要であると考えられます。

現状必ずしも明確な定義もなく、
研究によってもその評価は様々な白衣高血圧ですが、
今後はより実証的な検証が必要であるように思います。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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