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イボを補修テープで治療する [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は午前午後ともいつも通りの診療になります。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
するイボを補修テープで治療.jpg
2002年のArch Pediatr Adolesc Med誌に掲載された、
市販の補修テープを貼るだけで、
尋常性疣贅(ウイルス性イボ)を治療する、
という興味深い試みを検証した論文です。

この方法は一部で流行っているもののようで、
医療関係者のSNSでも紹介されることがあります。
だた、その論拠となるまともな文献は、
これ以外にはあまりないようです。

尋常性疣贅(Verruca Vulgaris)というのは、
ヒトパピローマウイルスによる皮膚の感染症で、
上記文献の記載によれば、
小児の5から10%には発症するというほど多く、
そのピークは12から16歳にあり、
その3分の2は発症後2年以内に自然に治癒するとされています。

こちらをご覧下さい。
イボの画像.jpg
典型的な尋常性疣贅の画像です。
これは日本皮膚科学会のサイトから引用させて頂いたものです。
特別な許可は得ていないので、
問題があるようでしたら削除しますのでご連絡下さい。

このウイルス性イボの治療には、
現状あまり良い方法がありません。

皮膚科などで最も広く行われているのは、
液体窒素によりイボを冷凍に凝固するという方法ですが、
その治療メカニズムは明確ではない上に、
複数回の治療を要し、
治療は痛みや不快感を伴います。

以前から民間療法的な治療として、
イボにテープを貼っておくと良い、
というものがあり、
1998年にウイルス性イボに強い粘着力を持つテープを、
6日間連続して装着することを繰り返したところ、
およそ80%でイボが改善した、
という報告があります。

上記論文においては、
3歳から22歳のウイルス性イボの患者51名を、
くじ引きで2つの群に分けると、
一方は液体窒素による治療を複数回行い、
もう一方は補修テープをイボに貼り付けて、
6日後の夜に剥がし、
翌朝に貼り替えることを2ヶ月間繰り返します。

使用されているのは水道管などの補修テープで、
論文には詳細は書かれていませんが、
最近日本で使われているという報告が多いのはこちらです。
イボのパワーテープの写真.jpg

その結果、
液体窒素の治療により治癒したのは、
25名中60%に当たる15名であったのに対して、
ダクトテープによる治療で治癒したのは、
26名中85%に当たる22名で有意な差が認められました。

何故ここまでダクトテープによる治療は効果があるのでしょうか?

その点はほとんど明確なことは分かっていないようです。

メカニズムが不明であることと、
精度の高い臨床データがあまりないことは難点ですが、
殆どリスクなく安全に簡便に行えることは大きな利点で、
今後そのメカニズムを含めた、
研究の進捗を期待したいと思います。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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