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食事と認知症との関連について(2019年フランスの疫学データ) [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は午前午後ともいつも通りの診療になります。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
認知症と食事の影響.jpg
2019年のJournal of Alzheimer's Disease誌に掲載された、
食品の摂取量と認知症リスクとの関連についての論文です。

食事と認知症リスクとの関係については、
それほど多くのことが分かっていません。

理屈から言えば、
抗酸化作用のある食品を多く含む、
野菜や果物を多く摂ることは、
認知症の予防にも繋がりそうです。

また、動脈硬化性疾患の予防効果のある、
青魚の脂の成分であるEPAやDHAを多く摂ることも、
認知症の予防に繋がりそうです。

一方で獣の肉は飽和脂肪酸を多く含み、
認知症のリスクを上げるという可能性もあります。

ただ、実際に大規模な疫学データにおいて、
こうした点は明らかになったとは言えません。

それは、ある時点において、
認知症と特定の食品との間に関連があったとしても、
認知症の原因から発症までの間には、
10年以上という長い時間が掛かるので、
それを検証することが困難であるからです。

今回のデータはフランスにおいて、
65歳以上の一般住民5934名を12年間観察したものですが、
食事調査から4年以内の認知症の発症は除外して、
食事と認知症との関連を検証することで、
見かけ上のバイアスをなるべく減らすように工夫されています。

その結果は興味深いもので、
週に4回以上肉を食べている人と比較して、
週に1回以下しか肉を食べていない人は、
その後の認知症の発症リスクが1.58倍(95%CI: 1.17から2.14)、
アルツハイマー型認知症のリスクが1.67倍(95%CI: 1.18から2.37)、
それぞれ有意に増加していました。
そして、魚や果物、野菜の摂取量と認知症リスクとの間には、
有意な関連は認められませんでした。

今回の検証ではこれまでの知見とは異なり、
肉の摂取量が少ないことが認知症のリスク増加と関連してました。

肉好きを喜ばせるような結果ですが、
動物性蛋白を過不足なく摂ることが、
認知機能の維持のためには、
有益であるのかも知れません。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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