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新規経口GLP1アナログ(セマグルチド)の効果(DPP4阻害剤との比較試験) [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は金曜日でクリニックは休診ですが、
老人ホームの診療などには廻る予定です。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
セマグルチドの経口剤とシタグリプチンとの比較試験.jpg
2019年のJAMA誌に掲載された、
糖尿病の新薬の臨床試験についての論文です。

今2型糖尿病の治療薬として、
最も注目されているのが、
インクレチンという一種の消化管ホルモンで、
インスリン分泌を刺激するインクレチン関連薬と、
尿に糖を排出する働きを持つSGLT2阻害剤です。

いずれも他の多くの糖尿病治療薬とは異なり、
長期的な患者さんの生命予後や、
心血管疾患の予後を改善する可能性があり、
低血糖は比較的起こし難く、
体重も減少させるという効果が報告されているからです。

ただ、インクレチン関連薬には、
飲み薬のDPP4阻害剤と、
注射薬のGLP1アナログという2種類がありますが、
生命予後の改善効果などが一部の薬で示されているのは、
GLP1アナログだけで、
その有効性においてはDPP4阻害剤は劣るというのが、
これまでの臨床データから示されていることです。

しかし、DPP4阻害剤が飲み薬であるのに対して、
これまでのGLP1アナログは注射薬で、
患者さんにとってはその使用は抵抗のあるところです。

今回特殊な製法を用いることによって、
初めて製品化に成功した飲み薬のGLP1アナログが開発されました。

それがセマグルチドという薬です。
これはまず従来と同じ注射薬として開発され、
それから同じ成分の飲み薬が開発されたのです。

今回の研究では、
メトホルミンやSU剤といった従来のタイプの治療を行なっても、
HbA1cが7.0から10.5%と、
コントロールが充分ではない2型糖尿病の患者さんに対して、
経口のGLP1アナログであるセマグルチドを上乗せした場合と、
従来のDPP4阻害剤であるシタグリプチン(商品名ジャヌビア、グラクティブ)
を上乗せした場合との、
26週間の時点での血糖コントロールの比較を行っています。

偽薬を使用してどちらが上乗せされたのかを分からないようにした、
世界14か国で1864名の患者さんを登録して行った試験です。

その結果、
26週の時点でのHbA1cの低下率は、
DPP4阻害剤と比較して、
セマグルチドの方がより大きくなっていました。

ある意味ここまでは当たり前の結果と言えるものですが、
今後より長期の予後の比較を行うことにより、
この薬の真の意味での有効性が確認されることを期待したいと思います。

週に1回の内服で、
これまでの注射薬と同じ効果が見られるのであれば、
それはかなり画期的なことと言って良いからです。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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