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乳児期のライノウイルス感染と乳幼児喘息との関連 [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は金曜日でクリニックは休診ですが、
老人ホームの診療などには廻る予定です。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
ライノウイルスと喘息との関係.jpg
JAMA Pediatrics誌に掲載された、
乳児期の風邪ウイルスによる気管支炎が、
その後の乳幼児喘息にどう影響するかを検証した論文です。

小さなお子さんが風邪を引いてゼーゼーしやすいのは、
まだ肺の機能が十分に完成していない乳児期においては、
そう珍しくはないことです。

生後1歳未満の乳児期に、
風邪ウイルスによる細気管支炎を起こすと、
その後3歳くらいまでの時期に、
ゼーゼーの症状が起こりやすいことも知られています。

これはそれ以降の気管支喘息とは異なる病態と考えられていて、
日本においては乳幼児喘息という用語が使われています。
小児喘息に移行することもありますが、
成長に伴い自然と改善することも多いのです。

風邪を起こすウイルスの代表はライノウイルスです。
この一本鎖RNAウイルスには170種類以上の血清型があることが知られていて、
それはA、B、C群という3つの遺伝子群に分類されることが一般的です。

このうちこれまでの報告により、
乳幼児喘鳴との関連が最も高いとされているのがC群ライノウイルスです。

今回の研究はアメリカの複数施設において、
RSウイルス、各種のライノウイルスによる細気管支炎を起こして入院した、
1歳未満のお子さん716名の経過を生後3歳まで観察し、
原因ウイルスの種類と乳幼児喘息の発症リスクとの関連を比較検証しています。

その結果、
RSウイルスの感染と比較して、
C群ライノウイルスのよる感染は、
3歳時の乳幼児喘息のリスクが1.58倍(95%CI: 1.08 から2.32)有意に高く、
更に特異的IgEの上昇で診断したアレルギー素因を伴っていると、
そのリスクは3.03倍(95%CI:1.20から7.61)とより高くなっていました。
4歳の時点で小児喘息と診断されるリスクも、
4.06倍(95%CI: 1.17 から14.1)と、
より高くなっていることも確認されました。

このように、
他の風邪ウイルスと比較してC群ライノウイルスによる感染の、
その後の乳幼児喘息に与える影響は明らかに大きく、
今後C群ライノウイルスに特化した予防法の開発を含めて、
有効な対処法の開発が進むことを期待したいと思います。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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