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2型糖尿病と癌との関連について(日本でのメンデル遺伝子解析による検証) [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は午前午後ともいつも通りの診療になります。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
糖尿病とがんリスク日本.jpg
2019年のInternational Journal of Cancer誌に掲載された、
2型糖尿病の癌リスクについての、
日本の大規模疫学データを元にした論文です。

2型糖尿病の患者さんでは、
多くの癌の発症リスク、
特に膵臓癌、肝細胞癌、大腸癌のリスクが増加する、
ということが知られています。

この現象自体はほぼ事実と考えられていますが、
それが2型糖尿病自体の発症原因とリンクしているのか、
それとも血糖上昇が続くことによる影響や、
内臓脂肪増加やインスリン抵抗性など、
不随する代謝異常などと関連しているのかなどの詳細は、
まだ殆ど分かっていないのが実際です。

今回の研究は日本の代表的な大規模疫学研究である、
多目的コホート研究(JPHC)のデータを活用して、
メンデル無作為化解析という手法により、
2型糖尿病の発症に関わる遺伝子変異と、
癌の発症リスクとの関連を検証しています。

32949名の一般住民を中間値で15.9年の経過観察を行い、
その間に3541例の新たな癌の事例が診断されています。

癌の発症と2型糖尿病の発症に関わる遺伝子変異との関連を検証したところ、
トータルな癌、膵臓癌、肝細胞癌、大腸癌のいずれにおいても、
糖尿病と癌との間に有意な関連は認められませんでした。

癌と2型糖尿病との間に関連のあること自体は事実ですが、
それは2型糖尿病の遺伝子素因とは、
どうやら関連のないものであるようです。

今後こうした検証が積み重ねられることにより、
糖尿病の関連するどのような変化と、
癌の発症とが関連しているのかの解明に、
繋がることを期待したいと思います。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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