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砂糖加糖飲料と人工甘味料の健康影響について(アメリカの大規模疫学データ) [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は金曜日でクリニックは休診ですが、
老人ホームの診療などには廻る予定です。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
砂糖加糖液と人工甘味料の健康リスク.png
2019年のCirculation誌に掲載された、
砂糖や果糖などの自然由来の甘味料と、
人工甘味料の健康リスクを比較した論文です。

糖質は身体にとって必要な栄養素ですが、
ブドウ糖や果糖、およびそれが結合した糖質は、
甘くてどうしても摂取過多になりやすく、
その過剰摂取は肥満の原因となって、
健康に悪影響を来すことが指摘されています。

特にアメリカでは、
ブドウ糖と果糖を混合した、
フルクトース・コーンシロップが、
ジュースやお菓子などの甘味料として多用され、
その健康への悪影響が問題となっています。

その代わりに最近多用されているのが、
0カロリーの人工甘味料ですが、
こちらも過食の原因となったり、
インスリン分泌を刺激して高インスリン血症を惹起するなどの、
別個のリスクが危惧されるという側面があります。

それでは、
実際に生命予後に対して、
砂糖加糖飲料と人口甘味料とは、
どの程度の影響を与えているのでしょうか?

今回の検証はアメリカの医療従事者を対象とした、
大規模な疫学データを活用して、
この問題の検証を行っています。

他のリスク因子を補正した結果として、
砂糖加糖飲料を殆ど飲まない場合と比較して、
毎日1本の砂糖加糖飲料を飲んでいると、
総死亡のリスクは14%(95%CI: 1.09から1.19)、
毎日2本以上飲んでいると、
総死亡のリスクが21%(95%CI: 1.13から1.28)、
それぞれ有意に増加していました。
死亡原因では心血管疾患によるものが高く、
癌による死亡単独でも有意な増加が認められました。

一方で人工甘味料を含む飲料の摂取では、
殆ど飲まない場合と比較して、
毎日2本以上飲んでいる場合のみ、
総死亡のリスクは13%(95%CI: 1.02から1.25)、
有意に増加しており、
死亡原因では心血管疾患によるもののみ、
有意な増加が認められました。

このように砂糖加糖飲料の摂取は明確に生命予後と関連があり、
人工甘味料を含む飲料の摂取も、
若干ながら生命予後に影響を与える可能性が示唆されました。

ただ、人工甘味料そのものが影響しているのか、
それに伴う生活習慣などによるものなのかはまだ不明で、
今後より詳細な検証が必要であるように思います。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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