六本木歌舞伎「羅生門」 [演劇]
こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。
今日は日曜日でクリニックは休診です。
休みの日は趣味の話題です。
今日はこちら。
六本木のEXシアターで2年毎に上演されている、
海老蔵さんが主演し、三池崇史さんが演出する六本木歌舞伎が、
今回はV6の三宅健さんをゲストに迎えて、
先日まで東京で上演されました。
今回の新作は芥川龍之介の「羅生門」が原作とのことですが、
そこに「杜子春」や「蜘蛛の糸」を絡め、
更には「茨木」や忠臣蔵の七段目などの設定を入れ込んで、
休憩を含み2時間程度の作品に仕上げています。
前2作は台本作家にもビックネームを招聘していたのですが、
今回は特にクレジットはなく、
海老蔵さんを中心に松竹の文芸部のスタッフなどと、
相談して作品にしたのかな、と思いました。
海老蔵さんは勿論当代一の歌舞伎役者らしい歌舞伎役者で、
元禄歌舞伎の時代を彷彿させるような、
瑞々しい荒事の演技にその特質があると思います。
ただ、多くの演出家や作家と、
コラボをしつつ新作をクリエイトしているものの、
海老蔵さんが描く新しい歌舞伎作品の誕生には、
正直至っていないのが現状のようにも思います。
その中ではこの六本木歌舞伎のシリーズの1作目は、
宇宙人に対して歌舞伎の荒事のヒーローが、
徹頭徹尾歌舞伎で戦うという発想がなかなかで、
素の海老蔵本人が本人として登場して、
舞台上で歌舞伎役者に変貌する、という趣向も含めて、
面白い試みだと思いました。
2作目の「座頭市」は、
濃厚な濡れ場が特徴の世話物ですが、
ラストは唐突に荒事になるという珍妙な作品で、
意欲作ではあってもトータルには感心はしませんでした。
そして今回の3作目は、
三宅健さんが「羅生門」の下人を演じ、
悪事をなして斬り殺されると、
そこに私服の海老蔵さんが登場して、
三宅さんにもう一度別の人生を用意する、
という趣向になっていて、
それが何度も繰り返され、
ラストは天上からの救いの糸に乗って、
精神の呪縛から解放される、
というドラマになっています。
その中で海老蔵さんは歌舞伎のヒーローとなり、
荒事をしっかりと披露しますし、
ラストは一種の歌舞伎舞踊劇として盛り上がりを作っています。
これまでの3作品の中では、
若者の葛藤を主軸に据えて、
歌舞伎劇の要素を取り込み、
狂言回しのようなゲームマスターのような存在として、
素の海老蔵さんを登場させるという仕掛けを含めて、
最も分かり易い、意図も明確な作品に仕上がっていたと思います。
三宅健さんもとても頑張っていましたし、
まずは成功といって良いのではないかと思います。
ただ、これが新しい歌舞伎かと言うと、
いささか疑問の気はしますし、
希代の歌舞伎役者で、
元禄歌舞伎を体現出来る現存唯一の肉体である海老蔵丈が、
その本領を発揮しているとは言い難い側面もあります。
今後も海老蔵さんの芝居道と探求は続くと思いますし、
可能な限りそれを見守りたいと思います。
それでは今日はこのくらいで。
皆さんも良い休日をお過ごし下さい。
石原がお送りしました。
北品川藤クリニックの石原です。
今日は日曜日でクリニックは休診です。
休みの日は趣味の話題です。
今日はこちら。
六本木のEXシアターで2年毎に上演されている、
海老蔵さんが主演し、三池崇史さんが演出する六本木歌舞伎が、
今回はV6の三宅健さんをゲストに迎えて、
先日まで東京で上演されました。
今回の新作は芥川龍之介の「羅生門」が原作とのことですが、
そこに「杜子春」や「蜘蛛の糸」を絡め、
更には「茨木」や忠臣蔵の七段目などの設定を入れ込んで、
休憩を含み2時間程度の作品に仕上げています。
前2作は台本作家にもビックネームを招聘していたのですが、
今回は特にクレジットはなく、
海老蔵さんを中心に松竹の文芸部のスタッフなどと、
相談して作品にしたのかな、と思いました。
海老蔵さんは勿論当代一の歌舞伎役者らしい歌舞伎役者で、
元禄歌舞伎の時代を彷彿させるような、
瑞々しい荒事の演技にその特質があると思います。
ただ、多くの演出家や作家と、
コラボをしつつ新作をクリエイトしているものの、
海老蔵さんが描く新しい歌舞伎作品の誕生には、
正直至っていないのが現状のようにも思います。
その中ではこの六本木歌舞伎のシリーズの1作目は、
宇宙人に対して歌舞伎の荒事のヒーローが、
徹頭徹尾歌舞伎で戦うという発想がなかなかで、
素の海老蔵本人が本人として登場して、
舞台上で歌舞伎役者に変貌する、という趣向も含めて、
面白い試みだと思いました。
2作目の「座頭市」は、
濃厚な濡れ場が特徴の世話物ですが、
ラストは唐突に荒事になるという珍妙な作品で、
意欲作ではあってもトータルには感心はしませんでした。
そして今回の3作目は、
三宅健さんが「羅生門」の下人を演じ、
悪事をなして斬り殺されると、
そこに私服の海老蔵さんが登場して、
三宅さんにもう一度別の人生を用意する、
という趣向になっていて、
それが何度も繰り返され、
ラストは天上からの救いの糸に乗って、
精神の呪縛から解放される、
というドラマになっています。
その中で海老蔵さんは歌舞伎のヒーローとなり、
荒事をしっかりと披露しますし、
ラストは一種の歌舞伎舞踊劇として盛り上がりを作っています。
これまでの3作品の中では、
若者の葛藤を主軸に据えて、
歌舞伎劇の要素を取り込み、
狂言回しのようなゲームマスターのような存在として、
素の海老蔵さんを登場させるという仕掛けを含めて、
最も分かり易い、意図も明確な作品に仕上がっていたと思います。
三宅健さんもとても頑張っていましたし、
まずは成功といって良いのではないかと思います。
ただ、これが新しい歌舞伎かと言うと、
いささか疑問の気はしますし、
希代の歌舞伎役者で、
元禄歌舞伎を体現出来る現存唯一の肉体である海老蔵丈が、
その本領を発揮しているとは言い難い側面もあります。
今後も海老蔵さんの芝居道と探求は続くと思いますし、
可能な限りそれを見守りたいと思います。
それでは今日はこのくらいで。
皆さんも良い休日をお過ごし下さい。
石原がお送りしました。
2019-03-17 11:18
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