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BGMが創造力を低下させる? [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は午前午後ともいつも通りの診療になります。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
BGMが想像力を妨害する。.jpg
2019年のAppl Congnit Psychl誌に掲載された、
音楽の刺激が想像力に関わるような脳の活動を、
抑制する可能性があるのではないか、
という内容の論文です。

事実かどうかはまだ分かりませんが、
これまでの通説に反するような結果なので、
注目を集めている研究です。

BGMとして音楽を流して、
それを聴きながら別個の作業や勉強、仕事をすることは、
その作業の効率にどのような影響を与えるでしょうか?

その人にとって心地良くリラックスするような音楽、
また時には気分を高揚させるような音楽の刺激が、
単純作業やあまり頭を使わないような作業や運動の効率を、
上げる効果があるであろうということは、
音楽を聴きながら作業をしたことのある人なら、
臨床研究などせずとも、
実感は出来ることであるように思います。

ただ、これは脳の複数の部分の働きを、
統合して行うような作業においても成り立つことでしょうか?

その点についてはBGMがそうした創造的な作業においても、
その能力向上に有用であったという報告はあるものの、
ごく少数でまだ明確な結論に至ったとは言えません。

そこで今回の研究では、
馴染みのある音楽(歌詞付き)と歌詞のないインストルメンタル、
そして馴染みのない母国語以外の音楽(歌詞付き)の3種類のBGMを用意して、
個々の音楽を流しながら想像力を要すると思われる作業を行い、
その効率を無音の場合と比較検証しています。

対象となっている作業は、
CRAT(遠隔連想テスト)と呼ばれる性質のもので、
3つの異なる言葉を聞き、
そこに共通する性質を別の言葉で表現する、
というものです。

この作業はイメージする力が必要となるので、
創造性を測る1つの物差しとして使われているものです。

30名の健常なボランティアを対象として、
テストを施行したところ、
3種類のBGMのいずれを使用しても、
無音と比較すれば作業の効率は低下していました。
耳慣れた音楽を使用した場合には、
確かに気分は良く作業は進められましたが、
それは作業効率自体とは関連が認められませんでした。

このように創造性を必要とするような作業においては、
BGMはそれが耳慣れたものであっても、
作業効率を低下させる方法に働く、
というこれまでとは反対の見解が示されました。

これは別に証明された、
というほどの知見ではありませんが、
個人的にはもっともだというように思います。

僕自身、この記事を書いているような時は、
極力無音でないと作業が進まないのですが、
レセプトの病名付けのような作業の時には、
今はyou tubeでナイツの漫才と状況劇場の古い音源を、
BGMとしてエンドレスで流しながら行うことが多く、
その方が持続的に長く作業が継続出来るような気がします。

おそらく、これは作業の性質によっても、
かなり個人差のある事項であると思うので、
そもそもこうした研究には、
あまり馴染まないものではないかも知れません。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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