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2018年の演劇を振り返る [演劇]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

お正月、皆さん如何お過ごしでしょうか?

今日は昨年の演劇を振り返ります。

昨年は以下の公演に足を運びました。

1.別冊「根本宗子」第6号「バー公演じゃないです。」(再演)
2.歌舞伎座一月大歌舞伎夜の部
3.「テロ」
4.T-WORKS#1「源八橋西詰」
5.柿喰う客「俺を縛れ!」
6.伊東四朗コントライブ「生きるか死ぬか!」
7.唐組×東京乾電池コラボ公演「嗤うカナブン」
8.アガリスクエンターティメント「卒業式、実行」
9.「密やかな結晶」
10.オフィスコットーネプロデュース「夜、ナク、鳥」
11.「岸 リトラル」
12.三谷幸喜「江戸は燃えているか」
13.三浦大補「そして僕は途方に暮れる」
14.細川徹「さらば!あぶない刑事にヨロシク」
15.財団法人親父倶楽部「死んだと思って生きてみる」
16.TEAM NACS「PARAMUSHIR」
17.劇団☆新感線「修羅天魔~髑髏城の七人 Season極」
18.タクフェス「笑う巨塔」
19.「悪人」(2人芝居)
20.「火星の2人」
21.サモ・アリナンズ「ホームズ」(再演)
22.「PHOTOGRAPH51(フォトグラフ51)」
23.城山羊の会「自己紹介読本」(再演)
24.ナイロン100℃「百年の秘密」(再演)
25.シスカンパニー公演「ヘッダ・ガブラー」
26.月刊「根本宗子」第15号「紛れもなく、私が真ん中の日」
27.シベリア少女鉄道「今、僕たちに出来る事。あと、出来ない事。」(リニューアル)
28.マクドナー「ハングマン」(長塚圭史演出)
29.岩松了「市ヶ尾の坂」(再演)
30.カムカムミニキーナ「蝶つがい」
31.イキウメ「図書館的人生vol.4 襲ってくるもの」
32.ゴキブリコンビナート「情欲戦士ロボ単于」
33.山海塾「卵を立てることからー卵熱」(リ・クリエーション)
34.山海塾「金柑少年」(リ・クリエーション)
35.唐組第61回公演「吸血姫」
36.松尾スズキ「ニンゲン御破算」(再演)
37.ILLUMINUS selection「ナイゲン」
38.庭劇団ペニノ「蛸入道忘却ノ儀」
39.ジョンソン&ジャクソン「ニューレッスン」
40.ナイロン100℃「睾丸」
41.「マクガワン・トリロジー」(小川絵梨子演出)
42.藤田貴大「BOAT」
43.ナカゴー「まだ出会っていないだけ」
44.谷賢一「1961夜に昇る太陽」
45.阿佐ヶ谷スパイダース「MAKOTO」
46.劇団鹿殺し「俺の骨をあげる」
47.マーム&ジプシー「BEACH」
48.港.ロッ区.「ロックの女」
49.カンニング竹山「放送禁止2018」
50.「シティ・オブ・エンジェルズ」(福田雄一演出)
51.tsumazuki no ishi ×鵺的合同公演「死旗」
52.ほりぶん「牛久沼3」
53.劇団チョコレートケーキ「ドキュメンタリー」
54.前川知大「ゲゲゲの先生へ」
55.唐組第62回公演「黄金バット~幻想教師出現~」
56.カミュ「誤解」(新国立劇場レパートリー)
57.ケラマップ「修道女たち」
58.ゴキブリコンビナートなど「見世物ナイト」
59.「銀杯」(森新太郎演出)
60.タクフェス「あいあい傘」
61.劇団チョコレートケーキ「遺産」
62.「魔界転生」(堤幸彦演出)
63.NODA・MAP「贋作 桜の森の満開の下」
64.ナイツ独演会「ワッショイでない事だけは確か」
65.悪い芝居「メロメロたち」
66.「民衆の敵」(ジョナサン・マンビィ演出)
67.劇壇ガルバ「森から来たカーニバル」
68.城山羊の会「埋める女」
69.「ロミオとジュリエット」(クドカン演出)
70.唐十郎「腰巻お仙 振り袖火事の巻」(小林七緖演出)
71.月刊「根本宗子」第16号「愛犬ポリーの死、そして家族の話」
72.ジョビジョバ「keep on talking」(トークライブ)
以上の72本です。

映画と同じく本数は前年より少し減りました。
年の後半はかなりバタバタしていて、
もう少し観たい演劇があったのですが、
だいぶ観ることを断念しました。
歌舞伎は時間的に観るのは無理がありました。

今年の私的なベスト5はこちらです。
基本的に初演を対象としていますが、
再演でも大きく演出が変わっていたり、
前回の上演から時間が経っているものは含んでいます。

①月刊「根本宗子」第15号「紛れもなく、私が真ん中の日」
https://rokushin.blog.so-net.ne.jp/2018-05-03
2018年も精力的に活躍された根本さんですが、
若手俳優の群像劇として、
集団創作的な趣向に挑戦したこの新作が、
最も優れた舞台成果だったと思います。
途中でメインキャストが降板して、
根本さんが代役に立つ日があるなど、
舞台の出来には凹凸があったようですが、
僕が観た日はオリジナルキャストで、
素人に近い少女達の瑞々しいエネルギーと、
根本さんの緻密で老練とも言える演出とが、
見事に噛み合った素晴らしい舞台でした。
ここまで完成度が高く、躍動感に満ちた小劇場の舞台は、
そうざらにはありません。
内容的にも小児期のトラウマが、
その後の青春を支配するという根本さん得意のドラマで、
彼女のキャリアの中でも、
特筆するべき仕事であったと思います。
冬の本多劇場の新作は少人数の家庭劇で、
ホームグラウンドに戻った感じですが、
あまり舞台は弾みませんでした。

②唐組×東京乾電池コラボ公演「嗤うカナブン」
https://rokushin.blog.so-net.ne.jp/2018-02-11-1
これは2大劇団の精鋭のコラボというのも楽しいですし、
川村毅さんの台本が洒脱で力の抜けた楽しいもので、
それを受けた柄本明さんの演出が、
またバッチリと決まっていました。
おじさんだけの座組なのですが、
後半シュールになるハードボイルドタッチの物語が楽しく、
久しぶりに唐組関連の舞台に登場した、
稲荷卓央さんの芝居も感涙ものでした。
小劇場好きの方には絶対の贈り物です。
本当にいい芝居でした。

③ナイロン100℃「睾丸」
https://rokushin.blog.so-net.ne.jp/2018-07-15
2018年も精力的に活動を続け、
25周年記念公演として再演と新作が上演されました。
いずれも完成度の高い素晴らしい舞台でしたが、
特に新作のこの作品は非常に先鋭で刺激的な舞台で、
とてもとても感銘を受けました。
学生運動にのめりこんでいた学生が中年となり、
かつてを総括せざるを得ないような事件が起こる、
という物語ですが、
1993年を舞台にする、という辺りが巧みで、
現在からも過去からも距離を取り、
より普遍的で切実な青春と惜別と虚無のドラマとしていました。
演出も素晴らしく、
かつての大島渚映画を観ているような刺激がありました。
ケラさんの新たな挑戦とも言える力作です。
凄かった!

④tsumazuki no ishi ×鵺的合同公演「死旗」
https://rokushin.blog.so-net.ne.jp/2018-09-15
鵺的の高木登さんというのは、
独特の過激で病的なお芝居を書く人です。
アングラ演出では当代随一の寺十吾さんが演出に当り、
極めて刺激的で挑発的でグロテスクで暴力的な舞台が誕生しました。
何処とも知れない闇の部落で、
女を奪い合い犯し合う壮絶な抗争が展開されます。
明らかに昔のアングラとは肌合いの違う世界ですが、
この腹を括った悪趣味と過激の競演は、
これも小劇場の愉楽であることは間違いがありません。
ラストの愚者の行進のカタルシスは、
新たなアングラ芝居の誕生を告げる奇観でした。

⑤「PHOTOGRAPH51(フォトグラフ51)」
https://rokushin.blog.so-net.ne.jp/2018-04-21
今年観た翻訳劇の中では、
最も好きだった1本で、
主役を演じた板谷由夏さんもなかなかでしたし、
シンプルな演出も良かったと思います。
ノーベル賞を巡る科学者の仁義なき競争に、
冷徹な仮面の下に愛を渇望する孤独な魂を秘めた、
1人の女性の人生を絡めた作劇は、
ほぼ日本人劇作家には書けない世界で、
それだけでも上演する価値はあります。
あまり評判にはなりませんでしたが、
繊細で良い芝居だったと思います。

これ以外には、
ベスト5には入れませんでしたが、
唐組の30周年記念公演として上演された2本は、
いずれも唐先生の戯曲の魅力を、
存分に感じさせる出来映えでした。
それから谷賢一さんによる福島原発事故を俯瞰する3部作の1作目は、
緻密な取材に裏打ちされた意欲作でした。
演出の小劇場的な安易さが、
作品の質を下げていたのが少し残念です。

今年何本くらいの舞台に出逢えるでしょうか?
一期一会の思いで作品に対したいと思います。

それでは今日はこのくらいで。

皆さんも良いお正月をお過ごし下さい。

石原がお送りしました。
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