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胎児の喫煙影響に対するビタミンCの予防効果 [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は金曜日でクリニックは休診ですが、
老人ホームの診療などには廻る予定です。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
ビタミンCの禁煙予防効果.jpg
2017年のAmerican Journal of Respiratory and Critical Care Medicine誌に掲載された、
妊娠中の喫煙の胎児への影響を、
ビタミンCで緩和しようという内容の論文です。

喫煙には多くの健康への悪影響があります。

その多くは喫煙者本人に限定されるものですが、
妊娠中の女性が喫煙をしていると、
胎児に影響を与えることが近年指摘されるようになっています。

そのうちで明確な事実と言えることの1つは、
お子さんの肺機能が低下することで、
乳幼児期の喘息が増加し、
この肺機能の低下は生涯に渡り影響を与えると考えられています。

そのメカニズムは胎児のDNAのメチル化にあるとされ、
母親の遺伝的な形質が、
そこに影響すると考えられています。

勿論こうした胎児への影響を防ぐためには、
禁煙することが確実な予防法であることは間違いがありません。

しかし、現実的にはヘビースモーカーの女性が妊娠されたような場合、
すぐに禁煙することは困難なケースも多いのが実際です。

罪のないお子さんを守るような方法はないのでしょうか?

ここで上記文献の著者らが注目しているのがビタミンCです。

ビタミンCは抗酸化作用を持ち、
遺伝子のメチル化についても、
その調整のために必須のビタミンです。

喫煙者ではビタミンC濃度が低下することが知られていて、
その影響は妊娠中の女性の場合、
胎児にも及ぶと考えられています。

それでは、妊娠中の喫煙女性がビタミンCを摂ることにより、
胎児への悪影響が防げる可能性があるのではないでしょうか?

今回の研究では、
1日500ミリグラムのビタミンCを、
喫煙している妊娠女性に使用した場合と、
使用しない場合とを比較して検証したところ、
喫煙による遺伝子のメチル化の変化が、
非喫煙者と同程度まで抑制されていました。

同じ雑誌に2018年に掲載された別の研究グループによる論文では、
同様のビタミンCの補充により、
生後3ヶ月の時点の呼吸機能が有意に改善していました。

このように、
妊娠中のビタミンCの補充が、
胎児の健康被害を守る上で一定の意義があることは、
ほぼ間違いがなさそうで、
勿論喫煙の害には禁煙が正解ではあるのですが、
どうしてもそれが困難な場合には、
罪のないお子さんを守るための方法として、
考慮される必要はあるように思います。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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