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肺炎球菌の感染経路と手洗いの重要性について [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は午前午後ともいつも通りの診療になります。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
肺炎球菌の感染経路.jpg
2018年のEur Respir J誌に掲載された、
肺炎球菌という細菌の感染経路を検証した論文です。

肺炎球菌は、
急性中耳炎や副鼻腔炎、肺炎や髄膜炎などの原因となる細菌で、
特に小さなお子さんや高齢者では、
そうした感染症が重症化して命に関わることは稀ではありません。
そのために感染やその重症化を予防するためのワクチンが、
小さなお子さんや高齢者の感染予防のために使用されています。

この肺炎球菌は鼻腔に感染して、
そこでまず増殖し、
それが身体の免疫状態の低下やウイルス感染などに伴って、
肺炎や髄膜炎などより重症の感染症の原因となります。
5歳未満の年齢では40から90%に鼻腔の感染が存在し、
大人でも10%程度では鼻腔に、
肺炎球菌が検出されると報告されています。

それでは、肺炎球菌はどのようにして、
鼻腔に侵入して感染するのでしょうか?

今回の研究では健常なボランティア63名を対象として、
肺炎球菌の集団(コロニー)を、
濡れた手に接触させ、
その手の臭いを嗅いだ場合と、
その手で鼻をほじったりした場合、
更に1、2分経って手が乾燥してから、
同様の行為をした場合の4種類で、
その後9日間経過した時点での、
鼻腔の肺炎球菌のコロニー形成の有無を比較検証しています。

鼻腔への肺炎球菌の保菌の有無は事前に確認し、
保菌していない対象者に限って実験を行っています。

勿論毒性の強い菌は使用されていませんが、
あまり進んでやる気は起こらない、
日本ではほぼ不可能なタイプの実験です。

その結果、
濡れた指で鼻をほじった場合には、
40%という高率で感染が成立し、
濡れた手の臭いを嗅んだ場合にも、
30%で感染が成立しましたが、
手を乾燥させた場合には、
感染は殆ど起こりませんでした。

このように、
濡れた状態の手が汚染されると、
それが鼻に近づくだけでも高率に感染が起こることが、
人間の実験で確認されています。

不潔な手は良く洗ってすぐに乾燥させることで、
肺炎球菌の感染は多くの場合に予防が可能であるようです。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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