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高齢者の認知機能と生活習慣との関係について [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は金曜日でクリニックは休診ですが、
老人ホームの診療などには廻る予定です。

明日9月1日(土)の午前中は、
代診になりますのでご注意下さい。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
認知機能低下と生活習慣.jpg
2018年のJAMA誌に掲載された、
高齢者における生活改善が、
その後の認知症の発症や、
認知機能の低下に与える影響についての論文です。

昨日の論文では、
40歳以下という若い年齢においても、
脳の虚血性変化や機能低下の萌芽のようなものは、
既に認められているというデータをお示ししました。

それでは、もう心血管疾患が発症し、
認知機能の低下も見られ始める、
65歳以上の年齢層においても、
生活改善は認知症の予防に有用なのでしょうか?

一定の有効性があるという考えがある一方で、
もう手遅れではないのか、
という考え方もありそうです。

今回の研究ではフランスにおいて、
年齢が65歳以上で登録の時点で心血管疾患や認知症のない、
トータル6626名の一般住民を平均で8.5年観察し、
7つの心血管疾患リスクに繋がる生活習慣やデータと、
認知症の発症リスクとの関連を検証しています。

7つの認知症予防に繋がるデータや生活習慣というのは、
タバコを吸わない、BMIが25未満、適度な運動習慣、
魚を週に2回以上、果物や野菜を1日に3回以上摂るような食事習慣、
総コレステロールが200mg/dL未満、
空腹時血糖が100mg/dL未満、
そして血圧が120/80未満、
の7つです。

その結果、
良い生活習慣や臨床データが多いほど、
認知症の新規発症リスクは低くなっていました。
1つの良い生活習慣や臨床データが加わると、
10%(95%CI:0.84から0.97)認知症リスクが低下する、
と算出されています。

このように65歳以上でも決して遅いということはなく、
心を入れ替えて生活改善を心がければ、
それが認知症の予防に繋がるという今回のデータは、
多くの同年配の方の励みになると思いますし、
生活指導を行いながらも、
心の中ではその効果に懐疑的であった、
多くの医療者にも安堵を与えるものではないかと思います。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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