SSブログ

「モリのいる場所」 [映画]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は土曜日で午前中は石田医師が外来を担当し、
午後2時以降は石原が担当する予定です。

今日は土曜日なので趣味の話題です。
今日はこちら。
モリのいる場所.jpg
これはあまりご覧になった方が多くない映画かと思いますが、
独特の個性を持った画家の熊谷守一さんをモデルに、
彼の晩年94歳の1日の出来事を描いた作品です。

先週同窓会で松本に行ったのですが、
その時にイオンの映画館でやっていたので、
たまたま観ました。
そうでなければ上映されていたこと自体、
知らなかったと思います。

山崎努さんが主人公の94歳の画家を演じ、
その妻を樹木希林さんが演じています。
山崎さんは熊谷守一さんのファンで、
演じることを切望していた、と宣伝には書かれています。

沖田修一監督が脚本も執筆していて、
僕はこの監督の作品をそれほど観ていませんが、
ちょっとクセのある方ですよね。

自分の家の庭を、
ある種の冒険のように歩く主人公を、
自然の風景や虫たちの姿の精緻な撮影と共に、
淡々とじっくり描いていて、
その部分に関してはとても良い感じです。

また、色々な個性的な人物が、
次々と熊谷さんの家を訪れるのですが、
そのやり取りなどもユーモラスで悠然としていて、
これもなかなか良い感じです。
ああこれは、たとえば黒澤明監督の「まあだだよ」みたいな気分で、
鑑賞すれば良いのかしら、
と思っていると、
ドリフの話題が盛り上がると上からタライが落ちてきたり、
宇宙人が訪問したりするので、
ちょっと騙されたような、
馬鹿にされたような気分になります。

体制批判のような社会批判のような部分もあるのですが、
最初の昭和天皇の登場もあまり感心しませんし、
殊更に文化勲章を批判するのも浮いている感じがしますし、
やるにしてももっとやりようがあったのでは、
という気分が最後まで拭えません。
最後に急に現代になって、
マンションの上から過去を見下ろすのも唐突だなあ、
と思いますし、
何処まで真面目で何処からふざけているのか、
皆目分からない感じがして落ち着かないのです。

でも、多分この監督とは話は合わないだろうな、
という感じが強くするので、
もう好んで観ることは止めようと思いました。

熊谷守一の美術館の新聞で次女の方が書かれた文章を読むと、
台本が事実と違う点が多いので申し入れをしたところ、
監督に「これはフィクションなので自由にやらせて欲しい」
と説得され、仕方なく同意した、
という趣旨のことが書かれていて、
それを読むと余計にモヤモヤしてしまいました。

何か勝手にファンタジーにするなら、
架空の画家のお話にすれば良いのに、
と思ってしまいました。

そんな訳であまり納得がいかなかったのですが、
主人公2人の演技は素晴らしく、
映像も非常に凝っていて美しいので、
一見の価値はあると思います。
何かちょっと残念ですね。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
nice!(8)  コメント(0) 

nice! 8

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。