「羊と鋼の森」(2018年映画版) [映画]
こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。
今日は日曜日でクリニックは休診です。
休みの日は趣味の話題です。
今日はこちら。
ピアノの調律師の世界を扱った青春小説を、
山崎賢人さんの主演で、
ほぼ原作に忠実に映画化した作品が、
今ロードショー公開されています。
原作は本屋大賞も受賞した宮下名都さんの小説で、
語り口が流麗で美しく、
調律師の世界を詩的に描いた点も新鮮で、
珍しい職業物で教養小説でもあるという、
本読みの心を狙い撃ちにしたような作品です。
ただ、確かに評価されるのだろうなあ、とは思いながらも、
個人的にはそれほど好きにはなれませんでした。
ちょっと話の展開が地味過ぎないですかね。
もうちょっと波乱万丈でも良いし、
神秘主義的な部分があっても良いように感じました。
また、レトリックが過剰ですよね。
理想の音の表現として引用される作家の言葉も、
修飾句だらけで3段もあるというのは、
長すぎるのではないでしょうか?
音色の表現などもあまりに過剰でくどすぎます。
お好きな方はすいません。
色々な感想があるということで、
スルーして頂ければ幸いです。
さて、人気のある小説ではあっても、
内容はとても地味なので、
これをどうやって映画にするのかしら、
大分設定を変えてしまうのではないかな、
と危惧も覚えたのですが、
実際に仕上がった作品は、
ほぼほぼ原作に忠実な物語で、
それをしかも極めて繊細かつ丁寧に、
特に山を張ることなく、
悠然と紡いだ作品になっていました。
それでいて退屈かと言うとそうでもなくて、
ピアノの音色と北海道の自然に彩られた物語は、
ある心地良い美意識とテンポとに支配され、
一旦そのリズムに乗ってしまうと、
とても心地良く最後まで作品世界に身をゆだねることが出来ます。
原作への愛情が強く感じられるという点が好印象で、
こういう映画もありだな、というようには感じました。
キャストは全てしっくりと役柄に合っていて、
通常日本映画には付き物の、
サービス的な違和感のあるようなキャストがいません。
中でも主人公の先輩調律師を演じた鈴木亮平さんが、
とても良い感じの役作りで印象的です。
変な熱演とは違うこうした自然さは、
これもあまり日本映画では見られないタイプの、
良い芝居であったと思います。
また原作では双子の姉妹を、
双子という設定は変えて、
上白石姉妹に演じさせているのですが、
実際の関係と役柄とが微妙にリンクするのが、
妖しくも面白くて、
ちょっと際どく胸騒ぎのするような感じが、
これもなかなかの見ものでした。
演出も堂々と正攻法で安定感があり、
シネマスコープの画面が上手く使われていました。
そんな訳でなかなか拾い物の感じのする良作で、
綺麗で静かな映画を観たい、というご希望の方には、
控え目にお薦めしたいと思います。
なかなかですよ。
唯一の不満はラストの久石譲さんによるテーマ曲で、
それまで使用された楽曲から、
がくんとレベルが下がるので駄目だと思います。
あれは最後までクラシックの名曲で押すのが、
絶対良かったですよね。
まあでも、売るための事情が色々あるので、
仕方がないのだろうとは推察されます。
それでは今日はこのくらいで。
皆さんも良い休日をお過ごし下さい。
石原がお送りしました。
北品川藤クリニックの石原です。
今日は日曜日でクリニックは休診です。
休みの日は趣味の話題です。
今日はこちら。
ピアノの調律師の世界を扱った青春小説を、
山崎賢人さんの主演で、
ほぼ原作に忠実に映画化した作品が、
今ロードショー公開されています。
原作は本屋大賞も受賞した宮下名都さんの小説で、
語り口が流麗で美しく、
調律師の世界を詩的に描いた点も新鮮で、
珍しい職業物で教養小説でもあるという、
本読みの心を狙い撃ちにしたような作品です。
ただ、確かに評価されるのだろうなあ、とは思いながらも、
個人的にはそれほど好きにはなれませんでした。
ちょっと話の展開が地味過ぎないですかね。
もうちょっと波乱万丈でも良いし、
神秘主義的な部分があっても良いように感じました。
また、レトリックが過剰ですよね。
理想の音の表現として引用される作家の言葉も、
修飾句だらけで3段もあるというのは、
長すぎるのではないでしょうか?
音色の表現などもあまりに過剰でくどすぎます。
お好きな方はすいません。
色々な感想があるということで、
スルーして頂ければ幸いです。
さて、人気のある小説ではあっても、
内容はとても地味なので、
これをどうやって映画にするのかしら、
大分設定を変えてしまうのではないかな、
と危惧も覚えたのですが、
実際に仕上がった作品は、
ほぼほぼ原作に忠実な物語で、
それをしかも極めて繊細かつ丁寧に、
特に山を張ることなく、
悠然と紡いだ作品になっていました。
それでいて退屈かと言うとそうでもなくて、
ピアノの音色と北海道の自然に彩られた物語は、
ある心地良い美意識とテンポとに支配され、
一旦そのリズムに乗ってしまうと、
とても心地良く最後まで作品世界に身をゆだねることが出来ます。
原作への愛情が強く感じられるという点が好印象で、
こういう映画もありだな、というようには感じました。
キャストは全てしっくりと役柄に合っていて、
通常日本映画には付き物の、
サービス的な違和感のあるようなキャストがいません。
中でも主人公の先輩調律師を演じた鈴木亮平さんが、
とても良い感じの役作りで印象的です。
変な熱演とは違うこうした自然さは、
これもあまり日本映画では見られないタイプの、
良い芝居であったと思います。
また原作では双子の姉妹を、
双子という設定は変えて、
上白石姉妹に演じさせているのですが、
実際の関係と役柄とが微妙にリンクするのが、
妖しくも面白くて、
ちょっと際どく胸騒ぎのするような感じが、
これもなかなかの見ものでした。
演出も堂々と正攻法で安定感があり、
シネマスコープの画面が上手く使われていました。
そんな訳でなかなか拾い物の感じのする良作で、
綺麗で静かな映画を観たい、というご希望の方には、
控え目にお薦めしたいと思います。
なかなかですよ。
唯一の不満はラストの久石譲さんによるテーマ曲で、
それまで使用された楽曲から、
がくんとレベルが下がるので駄目だと思います。
あれは最後までクラシックの名曲で押すのが、
絶対良かったですよね。
まあでも、売るための事情が色々あるので、
仕方がないのだろうとは推察されます。
それでは今日はこのくらいで。
皆さんも良い休日をお過ごし下さい。
石原がお送りしました。
2018-06-24 09:25
nice!(8)
コメント(1)
この映画、原作も読んだし、趣味でピアノを弾く私としては興味があり、見たいと思っていました。
先日の水曜日に(レディースデイだし)行こう!と思っていたのですが、月曜日の地震・・。その影響で、最寄の映画館がお休みとなってしまい(その後再開しましたが)・・
閉鎖された暗い空間に長時間いるのもなんだか・・と思っているうちに、機会を逸してしまいそうです。
でも、今回の記事を見て、やっぱり時間を見つけて行ってみよう、と思いました。
by norinori (2018-06-24 22:08)