「Vision」 [映画]
こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。
今日は土曜日で午前午後とも石原が外来を担当する予定です。
今日は土曜日なので趣味の話題です。
今日はこちら。
河瀬直美監督の新作「Vision」が、
今ロードショー公開されています。
河瀬直美さんは良くも悪くもとても作家性の強い監督ですし、
世界的な大女優のジュリエット・ビノシュを主役に据えて、
SF的な設定のドラマを紡ぐというのですから、
相当変わった作品になるのであろうなあ、
脱力系の怪作にならなければ良いのだけれど…
というようにおっかなビックリで鑑賞したのですが、
予想の通りと言うか、
とてもとても変てこりんで奇妙な映画で、
「幻の湖」や「ブルークリスマス」、
「シベリア超特急」や「ジパング」、
などに匹敵するカルト的脱力映画になっていました。
ピノシュ演じる女性エッセイストが、
「Vision」という名前の謎の薬草(?)を求めて、
奈良県の吉野を訪れるのですが、
そこには永瀬正敏さん演じる山男や、
夏木マリ演じるシャーマンのような女性などがいて、
実は過去の因縁でビノシュとその村は結ばれていた、
というようなお話です。
お馴染みの吉野の風景が全編に登場しますが、
1000年に一度姿を現す謎の植物により、
全ての人間の苦しみが浄化される、
というような大風呂敷を広げておいて、
最後はちょっとした山火事(安っぽいCG)が起こって、
夏木マリがヘンテコな踊りを踊り、
ビノシュと森山未來さんの息子が、
岩田剛典さんとなって現れて終わり、
というだけのことになってしまうので、
何か狐につままれたような気分で、
劇場を後にしておしまい、という感じです。
まあ、内容的には輪廻転生的な、
河瀬直美さんのいつものお話しのリフレインなのですが、
「あん」、「光」と、
独立した物語として完成度の高い作品が続いていたので、
またまた以前のような自主映画的なテーマが、
しかもB級底抜けSF超大作的な雰囲気で展開されてしまうと、
おいおいという感じになりますし、
ラストには「結局これだけ?」と脱力せざるを得ないのです。
ビノシュが何か作品世界から大きく浮いていて、
「八月の狂詩曲」のリチャード・ギアのようで落ち着きません。
長瀬正敏さんとのベッドシーンがあるのですが、
観られた方はお分かりのように、
とても恥ずかしくて見るのが辛くなるような感じです。
これなら登場して頂かない方が、
作品的には良かったのではないでしょうか。
色々と事情があるのでしょうが、
練り上げられないままに、
やっつけ仕事で間に合わせた、
という感じが痛々しく、
今年観た映画の中では、
間違いなく最大の脱力系カルト映画となってしまいました。
通常の感性の方には受け付けないタイプの作品で、
飛びぬけた感性を持った天才か変人のみに、
理解可能な作品なのだと思います。
怪作です。
それでは今日はこのくらいで。
今日が皆さんにとっていい日でありますように。
石原がお送りしました。
北品川藤クリニックの石原です。
今日は土曜日で午前午後とも石原が外来を担当する予定です。
今日は土曜日なので趣味の話題です。
今日はこちら。
河瀬直美監督の新作「Vision」が、
今ロードショー公開されています。
河瀬直美さんは良くも悪くもとても作家性の強い監督ですし、
世界的な大女優のジュリエット・ビノシュを主役に据えて、
SF的な設定のドラマを紡ぐというのですから、
相当変わった作品になるのであろうなあ、
脱力系の怪作にならなければ良いのだけれど…
というようにおっかなビックリで鑑賞したのですが、
予想の通りと言うか、
とてもとても変てこりんで奇妙な映画で、
「幻の湖」や「ブルークリスマス」、
「シベリア超特急」や「ジパング」、
などに匹敵するカルト的脱力映画になっていました。
ピノシュ演じる女性エッセイストが、
「Vision」という名前の謎の薬草(?)を求めて、
奈良県の吉野を訪れるのですが、
そこには永瀬正敏さん演じる山男や、
夏木マリ演じるシャーマンのような女性などがいて、
実は過去の因縁でビノシュとその村は結ばれていた、
というようなお話です。
お馴染みの吉野の風景が全編に登場しますが、
1000年に一度姿を現す謎の植物により、
全ての人間の苦しみが浄化される、
というような大風呂敷を広げておいて、
最後はちょっとした山火事(安っぽいCG)が起こって、
夏木マリがヘンテコな踊りを踊り、
ビノシュと森山未來さんの息子が、
岩田剛典さんとなって現れて終わり、
というだけのことになってしまうので、
何か狐につままれたような気分で、
劇場を後にしておしまい、という感じです。
まあ、内容的には輪廻転生的な、
河瀬直美さんのいつものお話しのリフレインなのですが、
「あん」、「光」と、
独立した物語として完成度の高い作品が続いていたので、
またまた以前のような自主映画的なテーマが、
しかもB級底抜けSF超大作的な雰囲気で展開されてしまうと、
おいおいという感じになりますし、
ラストには「結局これだけ?」と脱力せざるを得ないのです。
ビノシュが何か作品世界から大きく浮いていて、
「八月の狂詩曲」のリチャード・ギアのようで落ち着きません。
長瀬正敏さんとのベッドシーンがあるのですが、
観られた方はお分かりのように、
とても恥ずかしくて見るのが辛くなるような感じです。
これなら登場して頂かない方が、
作品的には良かったのではないでしょうか。
色々と事情があるのでしょうが、
練り上げられないままに、
やっつけ仕事で間に合わせた、
という感じが痛々しく、
今年観た映画の中では、
間違いなく最大の脱力系カルト映画となってしまいました。
通常の感性の方には受け付けないタイプの作品で、
飛びぬけた感性を持った天才か変人のみに、
理解可能な作品なのだと思います。
怪作です。
それでは今日はこのくらいで。
今日が皆さんにとっていい日でありますように。
石原がお送りしました。
2018-06-23 06:15
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