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ナイロン100℃「百年の秘密」(2018年再演版) [演劇]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は土曜日で午前午後とも石原が外来を担当する予定です。

土曜日は趣味の話題です。

今日はこちら。
100年の秘密.jpg
今や現在を代表する小劇場と言って良い、
ナイロン100℃の25周年記念公演として、
2012年に初演された「百年の秘密」が再演されています。

これは初演版も観ていますが、
ケラとしてはかなりシリアスに振れた、
ワイルダーの「わが町」を思わせる大作で、
翻訳劇のパロディ的なところもあるのですが、
なかなか完成度の高い作品でした。

それをほぼ主要キャストは初演版のままに、
今回再演しています。

特に新しいことはしていないと思うのですが、
最初から最後まで抜群の安定感と完成度で、
今望みうる最高品質の小劇場芝居であることは間違いありません。

キャストは犬山イヌコ、峰村リエ、大倉孝二、萩原聖人の4人が抜群で、
初演の時は女性教師への少年期の破れた愛を引きずって、
悲劇的な結末に至る萩原聖人さんの物語に、
最も惹かれたのですが、
今回は「エデンの東」ばりの屈折した男ぶりの、
大倉孝二さんの芝居に一番感心しました。

峰村リエさんは個人的には、
一番好きと言っても良い女優さんですが、
今回の役柄は小児期の屈折が、
あまり大人になって以降に反映されていないような気がして、
初演の時と同様、
今回も釈然としない思いがありました。

個人的にはケラさんのこの系譜の作品としては、
「祈りと怪物」が最も好きで、
マジックリアリズム的な要素が、
もう少しあった方がよりケラさんの資質には、
合っているのではないかと思いますが、
この作品もアメリカ戯曲のパロディのようでありながら、
翻訳劇の名作に引けを取らない新たな世界を獲得していて、
ここまで優れた偽作的世界というのは、
三島由紀夫以来という表現をしても、
決して大袈裟ではないような思いもあったのです。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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