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劇団☆新感線「修羅天魔~髑髏城の七人 Season極」 [演劇]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は土曜日で午前午後とも石原が診療を担当する予定です。

今日は土曜日なので趣味の話題です。

今日はこちら。
修羅天魔.jpg
晴海市場前のIHIステージアラウンド東京で、
劇団☆新幹線の新作公演に足を運びました。

昨年から1年以上にわたって、
「髑髏城の七人」の複数のバージョンが、
多彩なキャストで上演されていますが、
花、鳥、風、月という4つのパターンが終了した後で、
「極」として新たにほぼ新作と言って良い作品が作られ、
今上演が行われています。

この「極」の後は、
これも旧作の「メタルマクベス」がまた、
幾つかのパターンで上演を繰り返すことになるようです。

この客席が回転するというキャパ2000人の大劇場は、
通常にはない広角の舞台と、
舞台を横にスライドさせる代わりに、
客席が動くことによって、
スムースな舞台転換が可能となる点に特徴があります。

ただ、キャパの割にかなり舞台は遠い感じとなって、
臨場感は乏しくなってしまうことと、
舞台の奥行があまり取れないので、
平面的な印象になってしまうという、
欠点もまたあるように思います。

今回で開幕以来5つ目の演出となり、
僕はそのうちの「花」と「風」と「極」という、
3パターンを観たことになりますが、
基本的な舞台セットの構造は、
変わっていなかったので、
今のところ集客は好調のようですが、
お客さんが一巡してからどのくらい戻って来るのかは、
ちょっと微妙な感じもします。

今回の舞台は天海祐希さんと古田新太さんの、
がっぷり4つの共演が売り物で、
天海祐希さんの堂々たる座長芝居などは、
矢張り素晴らしいとは思うのですが、
正直2人以外のキャストは大分小粒な感じは否めません。
かつての新感線は毎回オールスターキャスト、
という感じが売りであったのですが、
今回のようにバージョンを変えつつのロングラン、
ということになると、
公演毎に集客の目玉となるキャストを揃え、
それがあまり重ならないように調整するので、
どうしても層は薄い感じの座組になるのが苦しいところです。

この「髑髏城の七人」は面白い芝居だと思いますが、
ここまで沢山のパターンが上演されると、
もう何が何やら分からないという感じもあります。

基本的にはシリアスな物語構造なのですが、
敵の天魔王は強そうなのに、
その部下はおバカなキャラばかりというのが、
いつもどうも違和感があります。
徳川と天魔王の部隊の激突、
というような趣向にしては、
それぞれの人数は10人もいないくらいなので、
この劇場を埋めるという感じにはならず、
どうしても隙間風が吹くような戦闘シーンになる、
というのが切ないところです。

一度くらいは100人超くらいのエキストラを使って、
大々的な活劇を見せて欲しいと思いますが、
無理なのでしょうか。

さて、今回の「修羅天魔」は天海祐希の極楽大夫が主役で、
剣の活劇ではなく銃の名手であるという点や、
天魔王が信長の影武者であるだけではなく、
信長自身かも知れないということから、
本能寺以前の場面もあるという点、
ラストに天魔王が家康の本陣に斬り込む、
という場面が用意されている点などが、
これまでのシリーズとはだいぶ様相を異にしていて、
ストーリーもよりシリアスになっています。

従って、これはこれで面白いのですが、
シリアスさが前面に立つ分、
本物の信長かも知れない天魔王の部下が、
コミカルなおバカキャラ揃い、
というのがバランスを欠いていました。

極楽大夫が遠方から銃で天魔王を狙う場面を、
非常に広角の横長に見せる趣向など、
回転劇場ならではの面白い趣向もありましたが、
総じて消化不良の部分も多く、
この作品の決定版というより、
1つの変奏曲という感じの作品になっていました。

劇団☆新幹線の奮闘には本当に頭が下がりますが、
この劇場を使い続けることが本当に新感線にとって良いことなのか、
ただ疲弊してしまうだけではないのか、
ちょっと危惧を覚えるような思いもあったのです。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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