「15時17分、パリ行き」 [映画]
こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。
今日は日曜日でクリニックは休診ですが、
1日研修会があるのでヘロヘロになる予定です。
休みの日は趣味の話題です。
今日はこちら。
2015年のテロリストによる銃乱射事件を、
「えっ?」と思うような手法で映画化した、
クリント・イーストウッド監督の新作映画を観て来ました。
これは映画史に残る1本で、
極めて困難な趣向に挑戦し、
それを1つの作品として完成させた力技は、
イーストウッド監督ならではです。
ただ、非常に残念ながら、
面白くはありません。(個人的な感想です)
前作の「ハドソン川の奇跡」も、
実際の旅客機事故を題材として、
それを再現した上で、
実在の人物を称えるという映画でしたが、
主役はトム・ハンクスでした。
今回の作品はそれを更に押し進めて、
一歩間違えば大量の死者の出る大惨事になるテロ事件を、
直前で未然に食い止めた、
たまたま居合わせた乗客、
特に犯人を取り押さえた3人の若者と、
負傷した彼に救急処置を施した医師の4人を、
実際の当人に演じさせ、
ラストはフランス大統領による、
彼らを称える実際の演説で締め括る、
という超絶な趣向を実現させています。
勿論ドキュメンタリーの再現ドラマで、
本人が自分の役を演じることはテレビなどでもありますが、
1本の長編劇映画をその手法で作り、
登場人物の過去のエピソードや、
他愛のない旅行の時のエピソードなども、
全て本人に演じさせるというような映画は、
これまでにあまり類例がないと思います。
監督のインタビューによれば、
当初は役者さんに役を演じさせるつもりで、
当人に取材をしていたが、
しているうちに、
「こいつらに実際にやってもらおう」と思いつき、
方向転換をした、という意味のことを語っています。
それが事実であるかどうかはともかく、
こうしたフットワークが可能であったとすれば、
イーストウッドであったからで、
通常はとても成立は困難な企画であったと思います。
ただ、良く考えると、
この映画の「虚構」は「テロリストの犯人」だけ、
ということになり、
現実の人間をヒーローとして祭り上げて、
実在している犯人のみを虚構の「悪」として断罪する、
というのは、
ややヒューマニズムの観点からは危うい手法である、
という感じもします。
ひねくれた監督であれば、
その現実と虚構の狭間を、
ひとひねりしたくなるところだと思いますが、
それを全くせず、
実在の人物の行為を100%肯定した、
勧善懲悪の物語に仕立てるところ、
その基礎にキリスト教の神を持ってくるという辺りが、
イーストウッド監督らしい、
というようにも思うのです。
実在の人物の演技はとても自然で、
おそらく一発撮りに近かったのかな、
というように推測されますが、
その辺りの裏話も知りたいところです。
このように映画ファンとしては興味は尽きないのですが、
実際に1本の映画として面白かったかと言うと、
正直あまり面白くはありませんでした。
素材はフィクションにするには地味で、
事件自体はある意味数分で終わってしまいます。
尺の大部分は主人公の若者3人の、
ヨーロッパ旅行の他愛のない描写が延々と続くので、
監督の意図は何となくわかるものの、
面白いとは感じることは出来ませんでした。
そんな訳で娯楽映画としてはある意味落第なのですが、
映画史に残る一作で、
一見の価値のある作品であることは間違いのないことだと思います。
皆さんは観たいと思いますか?
それでは今日はこのくらいで。
皆さんも良い休日をお過ごし下さい。
石原がお送りしました。
北品川藤クリニックの石原です。
今日は日曜日でクリニックは休診ですが、
1日研修会があるのでヘロヘロになる予定です。
休みの日は趣味の話題です。
今日はこちら。
2015年のテロリストによる銃乱射事件を、
「えっ?」と思うような手法で映画化した、
クリント・イーストウッド監督の新作映画を観て来ました。
これは映画史に残る1本で、
極めて困難な趣向に挑戦し、
それを1つの作品として完成させた力技は、
イーストウッド監督ならではです。
ただ、非常に残念ながら、
面白くはありません。(個人的な感想です)
前作の「ハドソン川の奇跡」も、
実際の旅客機事故を題材として、
それを再現した上で、
実在の人物を称えるという映画でしたが、
主役はトム・ハンクスでした。
今回の作品はそれを更に押し進めて、
一歩間違えば大量の死者の出る大惨事になるテロ事件を、
直前で未然に食い止めた、
たまたま居合わせた乗客、
特に犯人を取り押さえた3人の若者と、
負傷した彼に救急処置を施した医師の4人を、
実際の当人に演じさせ、
ラストはフランス大統領による、
彼らを称える実際の演説で締め括る、
という超絶な趣向を実現させています。
勿論ドキュメンタリーの再現ドラマで、
本人が自分の役を演じることはテレビなどでもありますが、
1本の長編劇映画をその手法で作り、
登場人物の過去のエピソードや、
他愛のない旅行の時のエピソードなども、
全て本人に演じさせるというような映画は、
これまでにあまり類例がないと思います。
監督のインタビューによれば、
当初は役者さんに役を演じさせるつもりで、
当人に取材をしていたが、
しているうちに、
「こいつらに実際にやってもらおう」と思いつき、
方向転換をした、という意味のことを語っています。
それが事実であるかどうかはともかく、
こうしたフットワークが可能であったとすれば、
イーストウッドであったからで、
通常はとても成立は困難な企画であったと思います。
ただ、良く考えると、
この映画の「虚構」は「テロリストの犯人」だけ、
ということになり、
現実の人間をヒーローとして祭り上げて、
実在している犯人のみを虚構の「悪」として断罪する、
というのは、
ややヒューマニズムの観点からは危うい手法である、
という感じもします。
ひねくれた監督であれば、
その現実と虚構の狭間を、
ひとひねりしたくなるところだと思いますが、
それを全くせず、
実在の人物の行為を100%肯定した、
勧善懲悪の物語に仕立てるところ、
その基礎にキリスト教の神を持ってくるという辺りが、
イーストウッド監督らしい、
というようにも思うのです。
実在の人物の演技はとても自然で、
おそらく一発撮りに近かったのかな、
というように推測されますが、
その辺りの裏話も知りたいところです。
このように映画ファンとしては興味は尽きないのですが、
実際に1本の映画として面白かったかと言うと、
正直あまり面白くはありませんでした。
素材はフィクションにするには地味で、
事件自体はある意味数分で終わってしまいます。
尺の大部分は主人公の若者3人の、
ヨーロッパ旅行の他愛のない描写が延々と続くので、
監督の意図は何となくわかるものの、
面白いとは感じることは出来ませんでした。
そんな訳で娯楽映画としてはある意味落第なのですが、
映画史に残る一作で、
一見の価値のある作品であることは間違いのないことだと思います。
皆さんは観たいと思いますか?
それでは今日はこのくらいで。
皆さんも良い休日をお過ごし下さい。
石原がお送りしました。
2018-03-04 07:43
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