コーヒーの大腸癌予防効果について [医療のトピック]
こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。
今日は金曜日でクリニックは休診ですが、
老人ホームの診療などには廻る予定です。
それでは今日の話題です。
今日はこちら。
2018年のInternational Journal of Cancer誌に掲載された、
コーヒーの習慣と大腸癌のリスクとの関連についての論文です。
これは日本のがん予防についての研究班が、
日本のこれまでの8つの疫学データをまとめて解析したものです。
コーヒーを飲む習慣は、
それが1日にカップ3杯から4杯くらいまでであれば、
概ね健康上の害はなく、
むしろ病気を減らし生命予後にも良い影響を与える、
という報告が多く見られています。
2017年のBritish Medical Journal誌に掲載された、
アンブレラレビューという手法で、
これまでの疫学データをまとめて解析した論文によると、
妊娠中と閉経後の女性の場合を除けば、
概ね病気のリスクは低下していて、
総死亡のリスクも17%有意に低下していました。
病気としては心血管疾患と共に、
癌のリスクが2割弱程度有意に低下していました。
それでは、個別の癌とコーヒーを飲む習慣との関係はどうでしょうか?
これまでに肝臓癌や子宮癌のリスクを低下させた、
という報告があり、
調査はされているもののその効果が明確ではないのが、
大腸癌のリスクについてのコーヒーの影響です。
そこで今回の研究では、
日本人を対象とした8つの臨床試験に登録された、
トータル320322名の健康調査のデータをまとめて解析し、
コーヒーの習慣と大腸癌のリスクとの関連を検証しています。
その結果、
トータルには男女どちらにおいても、
コーヒーの飲用習慣と大腸癌のリスクとの間には、
有意な関係は認められませんでした。
そこで性差と共に大腸癌の部位毎の解析を行うと、
女性の結腸癌においては、
1日1杯未満しかコーヒーを飲まない人と比較して、
1日3杯以上コーヒーを飲む人は、
癌の発症リスクが20%(95%CI: 0.64から0.99)
有意に低下していました。
結腸癌を遠位と近位に分けての解析では、
有意な差は認められませんでした。
更に喫煙の有無で同様の解析を行うと、
非喫煙者の女性の直腸癌については、
コーヒーを1日3倍以上飲む人の方が、
1杯未満の人と比較して、
癌の発症リスクが1.44倍(95%CI: 1.06から1.95)
これのみ有意に上昇していました。
このようにサブ解析の仕方によって、
一部には有意差が出るのですが、
一定の傾向はない上にその差も微妙な程度で、
トータルに考えると、
コーヒーの摂取と大腸癌のリスクとの間には、
それほど明瞭な関連はない、
と考えるのが現状は妥当であるように思います。
あるサイトにこの論文が紹介されていて、
「頻回のコーヒー摂取で直腸がんリスクが高いことを除き」という文章があり、
医師がコメントで「頻回とはどのくらいなのか分からない」
という意味の質問をしていたのですが、
これは確かにabstractではfrequentと書かれていますが、
実際にはコーヒーの摂取量は3群での比較しかしていないので、
1日3杯以上のことなのです。
この辺り原文も紛らわしいですし、
サイトの記事も如何なものかと思いました。
それでは今日はこのくらいで。
今日が皆さんにとっていい日でありますように。
石原がお送りしました。
北品川藤クリニックの石原です。
今日は金曜日でクリニックは休診ですが、
老人ホームの診療などには廻る予定です。
それでは今日の話題です。
今日はこちら。
2018年のInternational Journal of Cancer誌に掲載された、
コーヒーの習慣と大腸癌のリスクとの関連についての論文です。
これは日本のがん予防についての研究班が、
日本のこれまでの8つの疫学データをまとめて解析したものです。
コーヒーを飲む習慣は、
それが1日にカップ3杯から4杯くらいまでであれば、
概ね健康上の害はなく、
むしろ病気を減らし生命予後にも良い影響を与える、
という報告が多く見られています。
2017年のBritish Medical Journal誌に掲載された、
アンブレラレビューという手法で、
これまでの疫学データをまとめて解析した論文によると、
妊娠中と閉経後の女性の場合を除けば、
概ね病気のリスクは低下していて、
総死亡のリスクも17%有意に低下していました。
病気としては心血管疾患と共に、
癌のリスクが2割弱程度有意に低下していました。
それでは、個別の癌とコーヒーを飲む習慣との関係はどうでしょうか?
これまでに肝臓癌や子宮癌のリスクを低下させた、
という報告があり、
調査はされているもののその効果が明確ではないのが、
大腸癌のリスクについてのコーヒーの影響です。
そこで今回の研究では、
日本人を対象とした8つの臨床試験に登録された、
トータル320322名の健康調査のデータをまとめて解析し、
コーヒーの習慣と大腸癌のリスクとの関連を検証しています。
その結果、
トータルには男女どちらにおいても、
コーヒーの飲用習慣と大腸癌のリスクとの間には、
有意な関係は認められませんでした。
そこで性差と共に大腸癌の部位毎の解析を行うと、
女性の結腸癌においては、
1日1杯未満しかコーヒーを飲まない人と比較して、
1日3杯以上コーヒーを飲む人は、
癌の発症リスクが20%(95%CI: 0.64から0.99)
有意に低下していました。
結腸癌を遠位と近位に分けての解析では、
有意な差は認められませんでした。
更に喫煙の有無で同様の解析を行うと、
非喫煙者の女性の直腸癌については、
コーヒーを1日3倍以上飲む人の方が、
1杯未満の人と比較して、
癌の発症リスクが1.44倍(95%CI: 1.06から1.95)
これのみ有意に上昇していました。
このようにサブ解析の仕方によって、
一部には有意差が出るのですが、
一定の傾向はない上にその差も微妙な程度で、
トータルに考えると、
コーヒーの摂取と大腸癌のリスクとの間には、
それほど明瞭な関連はない、
と考えるのが現状は妥当であるように思います。
あるサイトにこの論文が紹介されていて、
「頻回のコーヒー摂取で直腸がんリスクが高いことを除き」という文章があり、
医師がコメントで「頻回とはどのくらいなのか分からない」
という意味の質問をしていたのですが、
これは確かにabstractではfrequentと書かれていますが、
実際にはコーヒーの摂取量は3群での比較しかしていないので、
1日3杯以上のことなのです。
この辺り原文も紛らわしいですし、
サイトの記事も如何なものかと思いました。
それでは今日はこのくらいで。
今日が皆さんにとっていい日でありますように。
石原がお送りしました。
2018-03-02 06:35
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