「RAW 少女のめざめ」 [映画]
こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。
今日は土曜日で午前中は石田医師が外来を担当し、
午後は石原が担当する予定です。
今日は土曜日なので趣味の話題です。
今日はこちら。
2016年のフランス・ベルギー合作で、
フランスの新人女性監督、
ジュリア・デュクルノーの長編デビュー作が、
今ロードショー公開されています。
2016年のカンヌ国際映画祭でも賞を取っているのですが、
これがとんでもない変態映画で、
ちょっと仰天しました。
R15という規制になっていますが、
R18であるべきのようにも思います。
昔俳優座劇場のレイトショーで、
深夜に1回のみ上映していたような、
そうした質感の作品ですし、
それが相応しいように思います。
それをまともな映画館で、
昼間から上映しているのですから、
それにも驚きました。
ホラーと言えなくもないのですが、
お化けみたいなものは出て来ませんし、
怖いという感じの作品ではありません。
ただ、徹底して背徳的で悪趣味で露悪的でグロテスクなので、
観ていると気分が悪くなってつらくなるという感じです。
ホラーは好きなジャンルですし、
こうした悪趣味を追求したような映画も、
結構見てはいるのですが、
その中でもかなり趣味の悪さではヘビー級の方だと思います。
意図的な模倣の部分もどうやらありそうですが、
悪趣味とエロと残酷さのみを追求した、
見世物ホラーをなぞったような感じもあります。
主人公は感受性の強い天才少女で、
奔放で背徳的な姉を慕って、
姉と同じ獣医学部に入学します。
そこが新人いじめに動物の血を頭からかけたり、
ウサギの腎臓を生のまま食べることを強要するような、
異常な上下関係のある特異な場所で、
そこで主人公の「ある異常な嗜好」が開花するのです。
オープニングの遠景の場面からして、
いきなり衝撃的な展開を見せますし、
馬に気管内挿管をしたり、
牛の摘便や犬の解剖などが、
おそらくは本物を全て使っているようで、
極めて生々しく登場します。
教職者を含めて登場人物は皆ヘビースモーカーですし、
この辺りは日本やアメリカの映画では、
今では倫理的にとても出来ない趣向です。
しかしそれはまだ序の口で、
主人公の異常な嗜好が開花する場面は、
真に衝撃的で悪趣味の極みで、
生理的な不快感を煽りますし、
その後の展開も異常さのつるべ打ちで、
悪夢のようなクライマックスの後では、
ショッキングで滑稽でもある、
絶妙な「オチ」が待っています。
こうした映画は通例、
藝術になるかクズになるかのどちらかですが、
この作品は微妙なところで、
勿論藝術ではありませんが、
クズとも言い切れないところで浮遊している感じです。
やりようによっては、
もっと藝術にも振れるところですが、
悪意に満ちた作り手は、
意図的に安っぽさを志向しているようです。
それでいて主人公の演技などは、
極めてリアルで繊細で見応えがありますし、
ラストのオチに向けて、
周到に前半から伏線が張られたりもしているので、
余計に観客はこの周到な悪ふざけのような作品を前に、
当惑するよりないのです。
とても皆さんにお勧め出来るような作品ではありませんが、
話のタネにはなるような、
衝撃作であることは間違いがありません。
それでは今日はこのくらいで。
今日が皆さんにとっていい日でありますように。
石原がお送りしました。
北品川藤クリニックの石原です。
今日は土曜日で午前中は石田医師が外来を担当し、
午後は石原が担当する予定です。
今日は土曜日なので趣味の話題です。
今日はこちら。
2016年のフランス・ベルギー合作で、
フランスの新人女性監督、
ジュリア・デュクルノーの長編デビュー作が、
今ロードショー公開されています。
2016年のカンヌ国際映画祭でも賞を取っているのですが、
これがとんでもない変態映画で、
ちょっと仰天しました。
R15という規制になっていますが、
R18であるべきのようにも思います。
昔俳優座劇場のレイトショーで、
深夜に1回のみ上映していたような、
そうした質感の作品ですし、
それが相応しいように思います。
それをまともな映画館で、
昼間から上映しているのですから、
それにも驚きました。
ホラーと言えなくもないのですが、
お化けみたいなものは出て来ませんし、
怖いという感じの作品ではありません。
ただ、徹底して背徳的で悪趣味で露悪的でグロテスクなので、
観ていると気分が悪くなってつらくなるという感じです。
ホラーは好きなジャンルですし、
こうした悪趣味を追求したような映画も、
結構見てはいるのですが、
その中でもかなり趣味の悪さではヘビー級の方だと思います。
意図的な模倣の部分もどうやらありそうですが、
悪趣味とエロと残酷さのみを追求した、
見世物ホラーをなぞったような感じもあります。
主人公は感受性の強い天才少女で、
奔放で背徳的な姉を慕って、
姉と同じ獣医学部に入学します。
そこが新人いじめに動物の血を頭からかけたり、
ウサギの腎臓を生のまま食べることを強要するような、
異常な上下関係のある特異な場所で、
そこで主人公の「ある異常な嗜好」が開花するのです。
オープニングの遠景の場面からして、
いきなり衝撃的な展開を見せますし、
馬に気管内挿管をしたり、
牛の摘便や犬の解剖などが、
おそらくは本物を全て使っているようで、
極めて生々しく登場します。
教職者を含めて登場人物は皆ヘビースモーカーですし、
この辺りは日本やアメリカの映画では、
今では倫理的にとても出来ない趣向です。
しかしそれはまだ序の口で、
主人公の異常な嗜好が開花する場面は、
真に衝撃的で悪趣味の極みで、
生理的な不快感を煽りますし、
その後の展開も異常さのつるべ打ちで、
悪夢のようなクライマックスの後では、
ショッキングで滑稽でもある、
絶妙な「オチ」が待っています。
こうした映画は通例、
藝術になるかクズになるかのどちらかですが、
この作品は微妙なところで、
勿論藝術ではありませんが、
クズとも言い切れないところで浮遊している感じです。
やりようによっては、
もっと藝術にも振れるところですが、
悪意に満ちた作り手は、
意図的に安っぽさを志向しているようです。
それでいて主人公の演技などは、
極めてリアルで繊細で見応えがありますし、
ラストのオチに向けて、
周到に前半から伏線が張られたりもしているので、
余計に観客はこの周到な悪ふざけのような作品を前に、
当惑するよりないのです。
とても皆さんにお勧め出来るような作品ではありませんが、
話のタネにはなるような、
衝撃作であることは間違いがありません。
それでは今日はこのくらいで。
今日が皆さんにとっていい日でありますように。
石原がお送りしました。
2018-02-17 06:31
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