脳内出血と血糖値との関係について [医療のトピック]
こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。
今日は水曜日で診療は午前中で終わり、
午後は別件の仕事で都内を廻る予定です。
それでは今日の話題です。
今日はこちら。
2018年のStroke誌に掲載された、
空腹時の血糖値と脳内出血のリスクとの関連についての論文です。
脳卒中は大きく、
脳の血管が詰まって血液が流れなくなる梗塞と、
脳の血管が破れて周辺に血液が流れだす出血とに分かれます。
脳出血のうち、
脳の中にある血管が破れて出血するのが、
脳内出血です。
脳卒中の治療は大きな進歩を遂げていますが、
その大部分は脳梗塞の治療におけるもので、
脳内出血に関しては、
あまり画期的な治療の進歩もありませんし、
その原因やリスクとなる要因についても、
あまり明確なことが分かっていません。
高血圧が脳内出血のリスクになることは、
間違いのない事実ですが、
血圧が安定していても脳内出血はゼロにはなりません。
つまり、当然高血圧以外にも、
脳内出血のリスク要因はある筈ですが、
それがあまり明らかにはなっていないのです。
糖尿病は動脈硬化を進行させ、
脳梗塞のリスク要因であることは間違いがありませんが、
血糖値と脳内出血との関連については、
脳梗塞のような明瞭な関係が得られていません。
そこで今回の中国の研究では、
96110名の一般住民の空腹時血糖値を測定して、
その後の脳出血のリスクとの関連を検証しています。
その結果、
脳内出血のリスクは、
空腹時血糖が4.0mmol/L(72mg/dL)から、
6.1mmol/L(110mg/dL)の間で最も低く、
それを上回る高血糖状態でも、
それを下回る低血糖状態でも、
いずれも上昇するということが確認されました。
つまり、血糖値が正常範囲から逸脱することは、
いずれも脳内出血のリスクに繋がるといって良いようです。
この研究では2年ごとに血糖測定が施行されていますが、
脳内出血との関連が深かったのは、
出血直近の血糖値ではなく、
登録時の血糖値もしくは観察期間の全体の血糖値で、
このことは急性の影響ではなく、
慢性の血糖値の影響が、
脳内出血との関連においては大きいことを、
示唆する所見であると考えられました。
脳内出血の予防はまだ確立されていませんが、
血圧の安定化と共に、
血糖値を正常範囲に維持することが、
現状ではその予防に重要であるのかも知れません。
それでは今日はこのくらいで。
今日が皆さんにとっていい日でありますように。
石原がお送りしました。
北品川藤クリニックの石原です。
今日は水曜日で診療は午前中で終わり、
午後は別件の仕事で都内を廻る予定です。
それでは今日の話題です。
今日はこちら。
2018年のStroke誌に掲載された、
空腹時の血糖値と脳内出血のリスクとの関連についての論文です。
脳卒中は大きく、
脳の血管が詰まって血液が流れなくなる梗塞と、
脳の血管が破れて周辺に血液が流れだす出血とに分かれます。
脳出血のうち、
脳の中にある血管が破れて出血するのが、
脳内出血です。
脳卒中の治療は大きな進歩を遂げていますが、
その大部分は脳梗塞の治療におけるもので、
脳内出血に関しては、
あまり画期的な治療の進歩もありませんし、
その原因やリスクとなる要因についても、
あまり明確なことが分かっていません。
高血圧が脳内出血のリスクになることは、
間違いのない事実ですが、
血圧が安定していても脳内出血はゼロにはなりません。
つまり、当然高血圧以外にも、
脳内出血のリスク要因はある筈ですが、
それがあまり明らかにはなっていないのです。
糖尿病は動脈硬化を進行させ、
脳梗塞のリスク要因であることは間違いがありませんが、
血糖値と脳内出血との関連については、
脳梗塞のような明瞭な関係が得られていません。
そこで今回の中国の研究では、
96110名の一般住民の空腹時血糖値を測定して、
その後の脳出血のリスクとの関連を検証しています。
その結果、
脳内出血のリスクは、
空腹時血糖が4.0mmol/L(72mg/dL)から、
6.1mmol/L(110mg/dL)の間で最も低く、
それを上回る高血糖状態でも、
それを下回る低血糖状態でも、
いずれも上昇するということが確認されました。
つまり、血糖値が正常範囲から逸脱することは、
いずれも脳内出血のリスクに繋がるといって良いようです。
この研究では2年ごとに血糖測定が施行されていますが、
脳内出血との関連が深かったのは、
出血直近の血糖値ではなく、
登録時の血糖値もしくは観察期間の全体の血糖値で、
このことは急性の影響ではなく、
慢性の血糖値の影響が、
脳内出血との関連においては大きいことを、
示唆する所見であると考えられました。
脳内出血の予防はまだ確立されていませんが、
血圧の安定化と共に、
血糖値を正常範囲に維持することが、
現状ではその予防に重要であるのかも知れません。
それでは今日はこのくらいで。
今日が皆さんにとっていい日でありますように。
石原がお送りしました。
2018-01-24 07:59
nice!(9)
コメント(0)
コメント 0