「勝手にふるえてろ」 [映画]
こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。
今日は年末でクリニックは休診です。
しばらくぶりに神奈川の実家に戻る予定ですが、
風邪でかなりつらい感じです。
それでは今日の話題です。
今日はこちら。
綿矢りささんの短い長編小説を、
大九明子さんが台本化して監督し、
人気者の松岡茉優さんが主演を勤めた映画が、
今ロードショー公開されています。
単館ロードショーに近い寂しい感じなのですが、
新宿のシネマカリテで観て来ました。
これは最高でした。
原作はそう好きではなく、
これなら西加奈子の「あおい」の方が、
数段素晴らしいと思いますが、
この映画は大好きです。
とっても良く出来た日本映画らしい日本映画で、
調子の良かった時の森田芳光監督映画のようです。
原作の骨組みはキチンと残しながら、
巧みに映画的な趣向を加えてアレンジした台本は、
非常に完成度が高いですし、
ウィットに富んだ演出も冴えています。
前半の釣りおじさん古舘寛治さんと松岡茉優さんとの、
とぼけたやりとりを聞くだけでも、
ウキウキするような気分になりますし、
それでいてキチンと映画ならではの、
ジーンとするような場面も用意されています。
妄想が壊れる瞬間をミュージカル風に処理して、
主演の松岡さんに歌わせているのですが、
普通何度もこうした場面を入れたくなるところを、
1カ所だけにしているのがとても節度があって良いのです。
アイデア満載で、
同じ手は二度は使っていないのです。
この辺りにもセンスを感じます。
そして何より素晴らしいのは主演の松岡さんで、
魅力的で切なくて誰でも好きにならずにはいられませんし、
妄想系女子をそれらしく演じながら、
演技過多のいやらしさがまるでありません。
間違いなく彼女の代表作だと思いますし、
今の時点の彼女の魅力の全てが詰まっていると言って、
過言ではありません。
北村匠海さんと渡辺大知さんという今売り出し中の2人が、
それぞれの特徴的な造形で松岡さんの恋人を演じていて、
こちらもとても完成度が高くで作品を盛り上げています。
北村さんの方は原作のイメージそのままで、
渡辺さんの方はかなり違うのですが、
原作通りでは映像的には成功しないので、
その改変もとてもクレヴァーであったと思います。
2人ともとても素敵です。
ラスト雨の中で狭い場所で抱き合うのは、
「ティファニーで朝食を」に似ています。
あの映画も妄想と現実が入り交じり、
ヒロインが突飛で目茶苦茶で抜群に魅力的で、
ヒロインが1曲だけ上手くはない歌を歌うので、
多分裏設定としては取り入れているのだと思います。
そんな訳で非常に完成度の高い見事な映画で、
観れば必ず心に長く棲みつく影響力の大きな作品です。
妄想系女子が妄想と現実の恋愛の相克に苦しみ、
成長してゆくというドラマは、
ある意味最近の定番でもありますが、
それをここまで完成度高く、
胸がウキウキするようにヴィヴィッドに仕上げた作品は、
これまでにあまりなく、
年末になりましたが、
個人的には今年一番の邦画となりました。
とてもとてもお薦めです。
最高ですよ。
それでは今日はこのくらいで。
皆さんも良い年の瀬をお過ごし下さい。
石原がお送りしました。
北品川藤クリニックの石原です。
今日は年末でクリニックは休診です。
しばらくぶりに神奈川の実家に戻る予定ですが、
風邪でかなりつらい感じです。
それでは今日の話題です。
今日はこちら。
綿矢りささんの短い長編小説を、
大九明子さんが台本化して監督し、
人気者の松岡茉優さんが主演を勤めた映画が、
今ロードショー公開されています。
単館ロードショーに近い寂しい感じなのですが、
新宿のシネマカリテで観て来ました。
これは最高でした。
原作はそう好きではなく、
これなら西加奈子の「あおい」の方が、
数段素晴らしいと思いますが、
この映画は大好きです。
とっても良く出来た日本映画らしい日本映画で、
調子の良かった時の森田芳光監督映画のようです。
原作の骨組みはキチンと残しながら、
巧みに映画的な趣向を加えてアレンジした台本は、
非常に完成度が高いですし、
ウィットに富んだ演出も冴えています。
前半の釣りおじさん古舘寛治さんと松岡茉優さんとの、
とぼけたやりとりを聞くだけでも、
ウキウキするような気分になりますし、
それでいてキチンと映画ならではの、
ジーンとするような場面も用意されています。
妄想が壊れる瞬間をミュージカル風に処理して、
主演の松岡さんに歌わせているのですが、
普通何度もこうした場面を入れたくなるところを、
1カ所だけにしているのがとても節度があって良いのです。
アイデア満載で、
同じ手は二度は使っていないのです。
この辺りにもセンスを感じます。
そして何より素晴らしいのは主演の松岡さんで、
魅力的で切なくて誰でも好きにならずにはいられませんし、
妄想系女子をそれらしく演じながら、
演技過多のいやらしさがまるでありません。
間違いなく彼女の代表作だと思いますし、
今の時点の彼女の魅力の全てが詰まっていると言って、
過言ではありません。
北村匠海さんと渡辺大知さんという今売り出し中の2人が、
それぞれの特徴的な造形で松岡さんの恋人を演じていて、
こちらもとても完成度が高くで作品を盛り上げています。
北村さんの方は原作のイメージそのままで、
渡辺さんの方はかなり違うのですが、
原作通りでは映像的には成功しないので、
その改変もとてもクレヴァーであったと思います。
2人ともとても素敵です。
ラスト雨の中で狭い場所で抱き合うのは、
「ティファニーで朝食を」に似ています。
あの映画も妄想と現実が入り交じり、
ヒロインが突飛で目茶苦茶で抜群に魅力的で、
ヒロインが1曲だけ上手くはない歌を歌うので、
多分裏設定としては取り入れているのだと思います。
そんな訳で非常に完成度の高い見事な映画で、
観れば必ず心に長く棲みつく影響力の大きな作品です。
妄想系女子が妄想と現実の恋愛の相克に苦しみ、
成長してゆくというドラマは、
ある意味最近の定番でもありますが、
それをここまで完成度高く、
胸がウキウキするようにヴィヴィッドに仕上げた作品は、
これまでにあまりなく、
年末になりましたが、
個人的には今年一番の邦画となりました。
とてもとてもお薦めです。
最高ですよ。
それでは今日はこのくらいで。
皆さんも良い年の瀬をお過ごし下さい。
石原がお送りしました。
2017-12-30 08:08
nice!(4)
コメント(4)
見送ろうと思っていましたが、このブログを読んで思い直しました。
by snakedoctorK (2017-12-30 19:42)
snakedoctorKさんへ
責任重大ですが素晴らしい作品ですので、
是非ご覧下さい。
もしよろしければご感想を教えて下さい。
by fujiki (2017-12-30 21:46)
観てきました!!
満席で次の回を観ることになりましたが、その回も満席になっていました。
昨年は先生がお勧めする映画を何本か見たのですが、もう本当にこれは最高でした。
エロもグロもないし、ミュージカルっぽいところもあるのにとても自然。共感や感動のツボが非常に繊細で、客席も時に笑い時にため息で、まるで演劇を見ているときのようでした。音楽も美術も映像も良かったなあ。(お客さんの層によるのか、小さい劇場だからかな……)
帰りがけ、わりと多くの人が、連れの人に映画の感想や持論を怒涛のごとく述べているようだったのが印象的でした。(例えば、水の音とか狭い落ち着く場所が子宮の中を表している、などなど)
私は主役の役者さんたちがとても気に入ったので、家に帰って渡辺大地さんを検索し、『色即ゼネレイション』を観ました。(『君の膵臓をたべたい』は前観たので)
先生、良い映画をありがとうございました。
by ゆま (2018-01-06 14:20)
遅くなりました。
観て参りました。
一言、ありがとうございます。
笑いどころ満載でした。
たしかに往年の森田芳光監督のテイストあふれる快作です。
大九監督は森田組と関係があるのでしょうか?
by snakedoctorK (2018-01-15 22:11)