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ブス会「男女逆転版・痴人の愛」 [演劇]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は土曜日で午前中は石田医師が外来を担当し、
午後2時以降は石原が担当する予定です。

今日は土曜日なので趣味の話題です。

今日はこちら。
痴人の愛.jpg
ペヤンヌマキさんが主宰して安藤玉恵さんが主役を勤め、
AV女優の控室での生態を赤裸々に描いた「女のみち」が忘れがたいブス会が、
ペヤンヌマキさんと安藤さんの40歳を記念して、
駒場のアゴラ劇場で新作公演を行っています。

今回は谷崎潤一郎の「痴人の愛」を、
男女逆転版で舞台化するという企画です。
文豪の作品の著作権が切れたことを利用した企画で、
その点はちょっと嫌らしい感じもするのですが、
舞台が面白ければこちらは文句はありません。

「痴人の愛」は平凡なサラリーマンの男性が、
15歳の小悪魔的な少女ナオミを引き取って、
自分の妻となるべき女性に調教しようとするものの、
逆にナオミの魔性に翻弄され、
最後は彼女の奴隷となってしまう、
という発表された大正時代には、
かなり時代を先取りしたセンセーショナルな作品です。
新聞の連載小説で、
谷崎の作品としては描写などかなりスカスカの、
風俗小説的な感じの強いものです。
僕は高校生の時に最初に読みましたが、
高校生にピンとくるような話ではありませんでした。

それを男女逆転させた今回の作品では、
40歳の独身の教師の女性を安藤玉恵さんが演じ、
彼女がバーで出会った福本雄樹さん演じる15歳の少年を、
気に入って家に連れ込み、
自分好みの男に調教しようとする、
という話になっています。
時代は現代に設定されています。

これを3人のキャストのみで、
ほぼ安藤さんの語りのような様式で舞台化しています。
舞台は能舞台を模したものになっていて、
音楽はチェロの生演奏です。
演技の質は通常の現代劇ですが、
安藤さんが福本さんに自分がかつて着ていて着物を着せ、
福本さんと仲たがいして1人になった時に、
その着物をもう一度自分で着て、
倒錯的な思いに囚われるところには、
能の「井筒」が入っていると思いますし、
原作とは違うラストでは、
谷崎より三島イズムや寺山イズムを感じる部分もありました。

このようにかなり意欲的な公演ではあったのですが、
それでは面白いかと言われると、
正直かなり苦痛で、
面白さを感じることは殆どありませんでした。

欧米の前衛劇風の演出であり内容なのですが、
演技のスタイルがそれに合致したものではなく、
言ってみれば小劇場演劇のスタイルなので、
様式だけ気取っているのが何かそぐわない感じがするのです。
物語的にも今の時代に語るものとしては、
平凡で地味で何を訴えたいのがピンとくるものがありません。
過激な部分もなく、
ただただ単調に時間だけが流れるような芝居でした。

安藤さんはなかなかの熱演でしたが、
かつてのアングラ大暴れ女優という感じはほぼなくて、
映像メディアで披露している演技の、
基本的には延長という感じしかありませんでした。

そんな訳で個人的には、
面白いと思える部分が皆無の観劇であったのですが、
個人の感想は様々ですので、
どうか関係各位には、
御容赦を頂きたいと思います。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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