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「IT イット "それ"が見えたら、終わり。」 [映画]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は土曜日で午前午後とも石原が外来を担当します。

今日は土曜日なので趣味の話題です。

今日はこちら。
イット.jpg
スティーブン・キングの代表作の1つ「IT」を、
アルゼンチン出身のアンドレス・ムスキエティ監督がメガホンを取り、
フレッシュなティーンのキャストで映画化した作品が、
今ロードショー公開されています。

ちょっと怖い感じのお兄さんやお姉さんが主体の客席で、
夜の映画館は結構賑わっていました。

今年は比較的ホラー映画の当たり年のようで、
この間の「ゲット・アウト」や「ドント・ブリーズ」のような新傾向もあり、
韓国の「新感染」も如何にもの熱量でしたし、
「ジグソー ソウ・レガシー」や「スプリット」など、
シリーズや著明監督の待望の新作、
というような作品も、
なかなかの完成度で満足感のある仕上がりになっていました。

この「IT」の映画化も、
子供が活躍する青春映画的枠組みの中で、
最初からバンバンお化けが登場して、
良質な脅かしがともかく連続するので、
最後はダレてしまうなど不満もあるのですが、
それなりの満足度のある仕上がりになっていました。

スティーブン・キングは、
アメリカを代表するエンターティンメント作家で、
「シャイニング」など代表作の多くは映画化されていますが、
話自体は他愛のない古めかしいものを、
緻密な描写と圧倒的な筆力で、
大作感のあるドラマに仕立て直すという性質のものなので、
映画にするとプロットの他愛のなさが前面に出てしまい、
失敗することが多いのが現実です。

「IT]の原作はキングの作品中でも最も長大なもので、
1958年と1985年とを交互に描出しながら、
悠然たるテンポで展開されてゆくのですが、
今回の映画は最後になると「第1章」とクレジットされていて、
原作の「過去」である主人公達が子供時代の1958年のパートを、
独立させて1本の映画にしたものです。

ただ、時代は1980年代に設定され直してあり、
人物関係なども異なっています。
大人になった主人公が、
過去の「恐怖」を乗り越えるというのが原作の趣旨ですから、
基本的に原作とは別物なのですが、
ピエロの姿をした「お化け」と、
子供達が対決するだけの物語にした上で、
ともかくお化けをバンバン出して、
工夫されたビジュアルと音響で、
ともかく脅かし続けるという映画になっています。

その趣向は前半から中段くらいにおいては、
なかなか成功をしていたと思います。
ピエロの非人間的な動きとか、
脅かしの呼吸は、
ジャパニーズホラーの影響も顕著で、
ちょっとシュールな感じも悪くありません。

ただ、後半になると子供達が結束して、
囚われたヒロインを救い出そう、
というようなクライマックスになるので、
「ハリー・ポッター」的な雰囲気となって、
怖さはほぼなくなってしまいます。
それでいて意外な展開や真実の暴露的なもの、
ミステリー的な要素などは特にないので、
正直後半はかなりダレました。

そんな訳で不満はあるのですが、
失敗作だらけで死屍累々の感があるキング作品の映画化の中では、
かなり健闘している方だと思いますし、
ホラーの好きな方には、
お薦めは充分出来る仕上がりにはなっていたと思います。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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