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「ゲット・アウト」 [映画]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は祝日でクリニックは休診です。

休みの日は趣味の話題です。

今日はこちら。
ゲット・アウト.jpg
気鋭のスタッフによるアイデアに溢れたホラー映画として、
アメリカでヒットを記録した「ゲット・アウト」を観て来ました。

黒人のカメラマンの青年が、
美女で白人の恋人の実家に招かれるのですが、
そこは田舎の豪邸で、
精神科医という両親は何処か不気味な上に、
高齢の白人ばかりの異様な集会が開かれ
(何故か1人日系人も混ざっています)、
家にいるアナクロな感じの黒人の召使い達は、
これも得体の知れない不気味な人ばかりです。

カメラマンの青年の不安は的を得て、
とんでもない恐怖の事態が待っているのです。

果たして恋人の両親にはどのような秘密があり、
青年の感じた不気味さの正体は何なのでしょうか?

なかなか練り上げられ、
奥行きのある秘密と、
如何にもB級ホラーという、
ホラーのマニアにはたまらない展開が待っています。

1ヶ月はもたない短期間の公開でしたが、
少し無理をしても劇場で鑑賞出来て良かったと思いました。

これは内容的には1970年代から80年代くらいに作られた、
ミステリーとホラーを掛け合わせたような映画に似ています。
「ウィッカーマン」や「ハロウィーン3」辺りは、
不気味さの質において同趣向のものでしたし、
ネタバレになるので具体的には書きませんが、
70年代のあるイギリス映画は、
ほぼ同じプロットの作品でした。
作家ではイギリスのブラックバーンが、
ホラーと伝奇とミステリーを、
巧みに混合させた作風で、
同様の雰囲気の作品を一時期量産していました。
アイラ・レヴィンの幾つかの作品も、
同じテイストのものです。

僕はこうした系統のミステリー色のある、
ホラーとスリラーの混合が、
小説でも映画でも大好きなので、
今回の作品はなかなかにツボでした。

ただ、ホラーの歴史を知らない方が、
この映画を「新しい」と思われたらそれは誤りで、
過去作に人種差別とはまた無関係ですが、
ほぼ同じプロットの映画があり、
その原作の小説もありますから、
かつて流行したある形式を基本的にはパクって、
そこに今のアメリカの世相に合わせて、
ちょっとアレンジを加えてみたのが今回の作品だと思います。

それから異常な一家に捕まって、
田舎の一軒家で散々な目に遭うという点では、
「悪魔のいけにえ」も当然入っていて、
後半のバタバタと展開する辺りは、
「悪魔のいけにえ」から綿々と続く、
ショッカーのパターンを綺麗になぞっています。
それでいて洗脳シーンや「処置」の場面などは、
70年代くらいのヒッピームーブメントを背景にした、
サイケデリックな映画のムードです。
「秘密」を解説した映像が出て来るのですが、
ブラウン管のテレビである辺りも、
芸が細かいと思います。

個人的には黒人監督が、
人種差別を戯画化したようなホラー映画を撮り、
その如何にもの感じには少し抵抗感があります。
この作品のプロット自体は、
別に人種差別の要素がなくても、
充分成立するものだからです。

ただ、その点を除けば作品自体はとても良く出来ていて、
ショッキングでサスペンスフルで、
ブラックなユーモアもあり、
最後のオチまでノンストップで楽しむことが出来ました。

ホラーの好きな方にはお薦めします。

それでは今日はこのくらいで。

皆さんも良い休日をお過ごし下さい。

石原がお送りしました。
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