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抗うつ剤の炎症性皮膚疾患改善作用 [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は水曜日なので診療は午前中で終わり、
午後は産業医の面談などに都内を廻る予定です。

それでは今日の話題です。

今日はこちら。
抗うつ剤の皮膚病に対する効果.jpg
2017年のActa Dermato-venereologica誌に掲載された、
抗うつ剤治療と皮膚疾患との関連についてのレビューです。
昨日の記事とも関連する話題です。

蕁麻疹やアトピー性皮膚炎、乾癬などの慢性の皮膚疾患は、
ウイルス疾患など全身の炎症により悪化し、
またストレスによっても悪化するという特徴があります。
つまり、ストレスと炎症とこうした皮膚疾患は関連しています。

抗うつ剤はうつ病の治療薬である共に、
炎症を抑えるような作用のあることが、
これまでの動物実験を含む知見から確認されています。

それでは、
抗うつ剤の治療により蕁麻疹や乾癬、
アトピー性皮膚炎などの炎症性の皮膚疾患は改善するのでしょうか?

今回のレビューでは、
これまでの28の臨床試験や症例報告のデータをまとめて、
その有効性を検証しています。

その結果、
三環系抗うつ剤で日本未発売のドキセピンにより、
慢性蕁麻疹、特に寒冷蕁麻疹に対する有効性が、
複数の臨床試験によりほぼ確認されています。
SSRIなどより新しいタイプの抗うつ剤の臨床試験も、
幾つか行われていますが、
三環系抗うつ剤に勝るような効果は確認されていません。

SSRIは皮膚掻痒症に対する有効性が確認されていて、
乾癬の治療に対する有効性も報告されています。
これも日本未発売の抗うつ剤であるブプロピオン(DNRI)は、
乾癬やアトピー性皮膚炎への改善効果が報告されています。

このように、
炎症性の皮膚疾患に対して、
おそらく炎症を抑える作用により、
抗うつ剤の有効性がほぼ確認をされています。

ただ、抗うつ剤は多くの副作用のある薬でもあり、
単純に皮膚疾患の治療目的での使用については、
慎重に考えるべきであるように思います。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。

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よろしくお願いします。

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コメント 3

ひでほ

うつ病の薬、いやな論文ばかり耳にしますが、いいこともあるんですね。
表題と関係ありませんが脾臓摘出後の2回目の肺炎連鎖球菌ワクチンは自費なのか保険適用なのか、だれに聞いても???です。摘出患者の5%がOPSIにり患し、50-80%が24H以内に死亡するらしいですけど、まわりの先生、けっこう知らない先生が多いのもびっくりです。
by ひでほ (2017-07-26 13:11) 

fujiki

ひでほさんへ
添付文書上は回数の記載はないので、
2回以上の接種はその時点では想定はされていないと思いますが、
数年間の時間が経っていますし、
保険適応としても、
実際上大きな問題は生じないのではないかと個人的には思います。
ただ、記載がないので2回目は自費、
という考えもあるのだと思いますので、
その辺は何とも言えません。
by fujiki (2017-07-27 08:04) 

ひでほ

ご指導ありがとうございます。
たとえ自費でも1万円以下らしいので受けようと思っています。
ワクチンも何種類もあるらしく、いろいろ精通している先生や感染症がご専門の先生にコンサル受け、受けたいと存じます。
by ひでほ (2017-07-27 18:29) 

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